1年生 探究基礎講座(発展探究編)報告

6月19日(水)の発展探究で行われた探究基礎講座の様子をお伝えします。
 今回の目的は「日本の建国の理念を理解し,現在の私達との繋がりを探れるようになる」きっかけをつかむことです。
 高校生の皆さんは,建国の理念について考えたことがありますか。全ての物事には原点があります。つまり,建国の理念は国家の原点とも言えるでしょう。アメリカの建国の理念は,1776年の独立宣言に「すべての人間は神によって平等に造られ,生命,自由,および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」とあるように,「真に自由の国を作ること」と言えます。フランスの建国の理念は,1789年のフランス革命のスローガン「自由,平等,博愛」と言えます。では,皆さんは日本の建国の理念は何であるか。いつできたのか答えられますか。

 

1 日本の建国の理念を調べてみよう。
≪課題の進行例≫
→ 日本書紀にあった!
→ 約2680年前,神武天皇が橿原の地(奈良県橿原市)に日本を建国したときの「建都の詔」で「掩八紘而為宇(八紘をおおいて宇となす)」とある。
→ 「天地四方八方の果てに至るまで、この地球上に存在する民族が、あたかも一軒の家の中に住むように、皆仲良く暮らす」という意味である。
→ 確かに,人種的差別撤廃を国際会議(パリ講和会議)で初めて提案したのは日本だった!

 

2 インドネシア独立宣言の「05年8月17日」とはいつのことなのか。理由とともに班で協力して調べよう。
≪問いの進行例≫
→ 「皇紀2605年8月17日」のことだった!
→ 日本がインドネシアに対して,植民地「支配」をしていたら,日本の敗戦後にわざわざ「皇紀」を使う?
→ 西欧列強諸国のように,現地の方々を「支配」するものではなく,「八紘為宇」の精神で,現地の方々を家族のように扱い,その独立を心より支援していた?
→ 独立宣言以降,インドネシアにいた元日本軍の約2000人もの将兵は家族の待つ祖国,故郷へ帰らず,インドネシア人と共に,オランダに対する4 年にも及ぶ独立戦争を戦い抜き,350年ぶりの独立を成し遂げた!日本人の戦死者は,ジャカルタにある国立英雄墓地に眠っている!
→ 他に似たような事例はある?
→ たくさんあった! インド,タイ,台湾等々
→ 外交戦略を考える上で非常に大切な事実を,なぜ多くの日本人は知らない?

3 「世界に平和がおとづれて万民太平の幸をうけるまで懸命の勉強することが大切なり」
こちらは,ある日本人が幼い娘たちに書いた手紙です。どんな人がどんな場面で書いたのかを班の皆で想像してみよう。
≪課題の進行例≫
→ 特攻隊員の出撃前の手紙であった!
→ 自分が死ぬことが分かっていても,世界平和を願っていた!
→ 他の人の手紙,遺書にはどんなことが書いてある?
→ 家族、故郷への感謝,想い,日本民族の福祉,世界人類の和平など・・・

 

4 元特攻隊員の山崎さんのインタビュー内容から,違う立場の人の心情を理解するために大切なことを考える。
≪課題の進行例≫
→ 山崎さんが,出撃命令時に「心臓を冷たい手で握られたように感じた」と感じたのは恐怖から?
→ 実際は全然違った!「崇高な使命感からくる緊張感」であった。
→ 戦後を生きている私達は,戦時中の若者の気持ちなど理解できない!
→ 山崎さんの話を伝え聞いた新聞記者は「恐怖を感じた」と書いてしまった!
→ 実際に,現場に行き,一次情報を仕入れることが大切である!

 

≪本日の振り返り≫振り返り,建国の理念と現代日本人との繋がりを考えてみる。
・今回の授業で日本の建国理念である「あめのしたに一つの家のような社会を築こう」というものに従って、他の国を救っている事実があったのだなと思いました。山崎さんの「心臓を冷たい手で握られたような感覚」というものは恐怖からではなく緊張からということに驚きました。今の私は生きている時代が違うから、そのように考えることはできないだろうと思いました。彼らのおかげで今があることを心において、これからを生きていこうと思いました。

・日本の良さを新たに学ぶことができて、日本人で良かったなと思った。そして暖かい国だなとも思った。今まで特攻隊員はかわいそうで、胸が痛くなると考えていたが、少し見方が変わった。今の私たちがあるのは,昔の人のおかげでもあるんだろうなと考えた。

・日本の建国や建国の理念を全く知らなかったので、もっと知っていこうと思いました。日本人なのに日本の歴史をしっかり知らなかったりすることもあるのだと思いました。特攻隊員の人に対しても誤った認識を持っていたと分かったので良かったです。学校の登下校中に知らない人でも家族のように頑張っているね,などと話しかけてくれる時に八紘為宇の精神を感じます。

・米国の建国の理念は知っていたのに日本のは知らなかったので、もっと自分が住んでいるところについて、ちゃんと知るべきだと思った。また、紀元前はキリスト教が影響している言い方なので、それには少し違和感を感じた。また、先入観を持つことはあまり良くないことだと感じ、これからはそういったものを持つことをやめようと思った。

・他国の建国理念を知っていながら、日本の建国理念を知らないというのは自分にとって盲点だったので、この機会に知ることができてよかった。今では戦争はいけない,戦争を繰り返してはいけない,などが多く教えられているが、具体的に当時の日本人や他国の人々がどう感じていたかを知らなかったので、とても面白かった。現代の物差しで考えるのではなく、いろんなものさしで物事を考えられるようにしたいと思った。

・日本に住んでいる限り制限があって、なかなか知ることができない情報もあるので、日本だけでなく海外から見た視点なども考えることが大切だと分かりました。海外について、日本との歴史的交わりを知ることが大切だとわかったので、もっと調べてみたいと思いました。また、山崎さんの話ではその時代の人の立場になって考えることが大切だと分かりました。これからの探究では現地に行って直接見ることを大切だとわかったので、是非現地に行ってみたいと思いました。

・日本とインドネシア、台湾、インドタイの関係は全然知りませんでした。日本はアジアに対してひどいことをしたという認識でいたので、それが変化しました。日本の建国理念についても考えたことがなく、建国自体もそんなに昔だったのかと感じました。日本人として外国との歴史、日本の歴史について、より詳しく知りたいと感じました。

・日本の建国が思っていた以上に古い出来事で、それでも建国理念として言葉が今でも伝わっているというところがすごいことであると感じました。また、世界と日本の関係を見てみても、日本は建国理念のもと動いている事実もあり、今の日本の民度が高いのは建国当初からの思いが受け継がれているからであり、戦争の話を経て先人の教えを受け継ぐことも大切だと思いました。

・授業の前は日本がアメリカに戦争を仕掛けて多くの犠牲者を出した国だと思っていたが、インドネシアなどからは感謝されていることを知り、驚いた。最近、こども食堂が私の家の近所にもできたが、これも八紘為宇の精神によるものなのかなと思った。

・今の自分たちには考えられないような価値観を戦時中の人々は持っていたのだと知りびっくりした。今の日本があるのは、この人たちのお陰なのだと感謝する一方,二度とこんなことが起こらない世の中になればいいなと思った。何かを落としてもそのまま何かしらの形で帰ってくる,互いに思いやりを持って接しているところに八紘為宇の精神を感じます。

・山崎さんの言葉とインタビューを見て、ただインターネット等で見るだけでなく、現地に行く大切さを知った。ネットでは表面的なことしかわからなくても,現地に向かうことで、第一人者の方の意見を聞けたり、自分で感情を体験することができると思った。夏休みには是非フィールドワークに行ってみたいと改めて思った。

・日本の良さについて、その由来をより深く広く知ることができました。どうしても戦争についてはネガティブで可哀想に書かれてしまうことが分かりました。今日の学習を踏まえて、今現在起きている戦争について考え直してみたいです。また、戦争後に教育を受けた人はもちろんのこと,戦争前から生きていて、経験を語ってくれている人にも GHQ の影響を感じました。兵士と国民のギャップがあるとも思いますが、ほとんど負のイメージを持たせるものが多いイメージだなと感じました。戦争中の日本の考え、精神も少しずつ受け入れ、より広い視野を使えるようになりたいです。

・特攻隊の方のインタビューのように、私たちは現代の尺度でしか、過去の出来事について考えることができないと分かりました。いつか実際に戦時中に残された手紙などを読んでみたいと思いました。日本が建国された時の八紘為宇の精神は今にも生きていて、そのお陰もあって日本の平和があるのかなと思いました。

・インドネシアやタイ、台湾など日本への感謝を持っている国があったのは知らなかった。日本国民として国際的な日本の立場や歴史的な他国とのつながりなど知っておくべきことはたくさんあると感じた。神武天皇の言葉が現代の日本人のアイデンティティーとして残っているのかもしれない。

・日本を知るにつれて日本を好きになり、日本人であることを誇らしく感じた。多くの外国と様々な関わりを持っていて、それが今にもつながっている。だから視野を広げるために昔の日本を知ることは大切だ。

・私たちが日本人だからと言って、日本のことを全部知っているわけじゃなくて、外国からの情報を聞くことで、日本の戦前の話も得られることができると知りました。特攻隊の話も聞いて無駄なことだと思っていたけど、実際には大きな成果があって、その犠牲のおかげで私たちの今があると知って,とても驚きました

・特攻隊の話は小説を読んだり、自分で調べたりもしたけど、いつ考えても理解ができないです。今を生きている私には考えることすらできないことを昔の人たちは当たり前のようにしていたんだと不思議な気持ちになりました。機会があったら自分の目で実際に見て昔の人の思いをより深く感じたいと思いました。