探究活動とは
学校教育の目的は,「人格の完成を目指し,平和で民主的な国家及び社会の形成者たる国民を育成する」ことです。また,総合的な探究の時間の目標は,「各教科等における見方・考え方を総合的に活用して,自己の在り方生き方を考えながら,よりよく課題を発見し解決していくための資質・能力を育成する」ことです。
これらの目的,目標を踏まえると,高校の探究活動は「どんな大人になりたいか?どんな国家・社会にしていきたいか?そのために何が出来るのか?を考えて行動していく活動」と言えます。もっとわかりやすく言えば,「興味関心を突き詰め『よい世の中』の作り方を考えて行動していく活動」と言えます。
しかし,「どんな大人になりたい?」,「どんな国家・社会にしていきたい?」,「よい世の中って?」と聞かれてもなかなか答えられない人が多いと思います。そんなときには,「これまでに積み重ねてきた歴史・原点を踏まえること」と,「社会との接点を持つこと」を意識してみて下さい。
私達は当たり前のように「文化的な」生活ができていますが,それは自然の恵みや先人達の遺産があるからです。まず,私達の食べ物のうち水と塩以外はほとんど全て「命」です。また,先人達が多大な犠牲を払いながら河川を整備して水田を作り(日本の堤防の9割以上は江戸時代までに作られたものです!),交通網を整備することで人,モノ,情報の速やかな移動手段を確保し,生物が光合成をして蓄えたエネルギーを熱や電気エネルギーに変換する仕組みを作るなどして,「文化的な」生活の礎を築いてきました。
そして,東日本大震災のような大災害の中でも略奪・暴動を起こさず,お互いに協力して困難を乗り切れる「和の心」を2680年以上の歴史(さらにいえば縄文時代から…)によって育んできました。
このように,これまでに先人達が積み重ねてきた歴史・原点を継承しつつ,皆さん自身の歴史・原点をじっくりと探ることで,「どんな大人になりたいのか?どんな国家・社会にして後人に残していきたいのか?」が見えてくると思います。また,現在進行形で「国家・社会作りに直接関わっている方々との接点」を持つことで,それはより具体化してくるでしょう。
よって,高崎女子高等学校の探究活動では,学校から飛び出し,「国家・社会作りに直接関わっている方々との接点」を持つことを推奨しているのです。
≪参考≫特に探究活動と関連のあるところには、下線を引きました。
〇教育の目的(教育基本法)
教育は,人格の完成を目指し,平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
〇教育の目標(教育基本法)
一. 幅広い知識と教養を身に付け,真理を求める態度を養い,豊かな情操と道徳心を培うとともに,健やかな身体を養うこと。
二. 個人の価値を尊重して,その能力を伸ばし,創造性を培い,自主及び自律の精神を養うとともに,職業及び生活との関連を重視し,勤労を重んずる態度を養うこと。
三. 正義と責任,男女の平等,自他の敬愛と協力を重んずるとともに,公共の精神に基づき,主体的に社会の形成に参画し,その発展に寄与する態度を養うこと。
四. 生命を尊び,自然を大切にし,環境の保全に寄与する態度を養うこと。
五. 伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに,他国を尊重し,国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
〇総合的な探究の時間の目標(学習指導要領解説 総合的な探究の時間編p11)
探究の見方・考え方を働かせ,横断的・総合的な学習を行うことを通して,自己の在り方生き方を考えながら,よりよく課題を発見し解決していくための資質・能力を育成すること