2024年5月の記事一覧
1年生 探究基礎講座第2回(総合的な探究の時間)
5月8日(水)の1年生の総合的な探究の時間の様子をお伝えします。
当日は先週に引き続き探究基礎講座が実施されました。
(「探究基礎講座」の概要はこちら ⇒ 探究基礎講座概要)
目的は、社会問題の「原因を探れるようになる」きっかけをつかむことです。
「原因」を正しく探らなくては、解決策を考えることは難しいものです。
先週と同様に個人が考えたり・調べたりしたことを、班で共有しながら視点をひろげる活動を軸に展開されました。
当日に扱ったテーマは以下のようになります。
1 日本の食糧自給率について (出典:農林水産省HP)
① 食糧自給率が低いことはなぜ問題なのだろうか。
② 日本の食糧自給率が低い理由を調べるためには,どんなデータや事実が必要なのか。
③ グラフにある国以外で,食糧自給率が低い国はどんな国があるのだろうか。なぜ低いのか。
※前回の時間軸、時間軸、立場軸という視点に「マクロ視点」を付け加えて、仮説を立てながら考える。
≪生徒の問いの展開例≫
①食糧自給率が低い問題点は?
・もし災害や戦争・紛争があっても,食料や種・飼料を回してもらえる?
・外国人は日本人に対して,食品の品質について責任を持つと思う?
⇒つまり・・・安心安全な食品を食べられる?
②なぜ日本の食糧自給率は低い?
・時間軸で見ると戦後に急激に下がっている!?
→ なぜ戦後に急激に下がったのか?
→ 1950~60年代に何があったのか?
→ 食の好み(習慣)が変わった?
→ なぜ食の好み(習慣)が変わったのか?
例えば…なぜ日本人は古事記にも登場する鯨を食べなくなったのか?
※日本の捕鯨にクレームを付けている国の自給率は?
→ 日本の給食はどう変化したのか?
③どんな国の食糧自給率が低い?
・やせた土壌,寒冷地,山岳地帯が多い?
→ 日本は肥沃な土壌,豊かな漁場に恵まれている!
・旧植民地でプランテーション作物を多く生産している国?
→ 自分たちではなく、外国人のための食糧を作っている?
・ そもそも食糧自給率が100%を超えている国の食料はどこへ??
・ GDPにおける国際的な地位低下も踏まえると・・・
→食料調達において「買い負ける」?
⇒やっぱりカロリーベースが大切?
2 日本の科学技術力について(出典:JST「Top10パーセント補正論文数」の「2007~09年」「2017~19年」の上位10位 NISTEP提供)
科学技術力を示す指標の1つとして,科学誌に掲載された自然科学の論文数があります。※「Top10%補正論文」とは他の論文に多く引用される「注目度の高い論文」のことです。
① 10年後の日本に予想されること(論文数はどうなるか?その結果どうなるのか?)
② ①で読み取れたことの原因
※前回の時間軸、時間軸、立場軸という視点に「マクロ視点」を付け加えて、仮説を立てながら考える。
≪生徒の問いの展開例≫
①10年後の日本は…
→もっと論文数が減る?
→科学技術力が益々下がる?
→外国で「開発」された製品を「生産」するだけの「下請け」国家になる?
→労働力が安く買われる?
→賃金が益々安くなる?
②なぜ論文数が下がっているのか?
・日本人の学力が相対的に下がっている?
→ 「本当に」下がっている? その理由は?
・海外に技術を盗まれている?
→ 本当に盗まれている? なぜ産業スパイを取り締まれない?
・研究費にお金を回さない?(投資をしない?)
→ なぜ投資ができない? → GDPと関係している?
→ そもそもなぜ経済成長が止まった?
≪生徒の振り返り抜粋≫
・日本の現状がよく分かった。万が一何かあった場合、日本の技術力では少し心配になった。前回の空間軸、時間軸に加え、マクロな視点を持つことが大切だと分かった。自分が住んでいる国なのだから、自分のことのようにしっかりと考えていくべきだと思った。他のデータや参考となる書籍を見てみようと思う。
・問題に直接的に関係のある資料や事実だけでなく、マクロな視点を持って考えてみることが大事。問題に対していろいろな視点から考えることを意識し、友達からも新たな視点を見出すように考えることができた。
・日本の食糧自給率が今は低くなっているが、昔はどうかと過去を遡ってみると、ある時期に大幅に下がっていることが分かった。そこからその時期に何があったのかと調べていくと、答えにたどり着くという調べ方が分かった。一つの情報に左右されずに、いくつもの情報を調べることが大切だと考えた。
・空間軸や時間軸、立場軸に着目して考える。調べたことをただ書き写すだけでなく、なぜそうなるのか?などの疑問を持つことが大切だと思った。調べたデータが本当にあっているのかを自分で確認する。自分が今何を調べたいのか、何が必要で何を知りたいのかを明確にする。
・日本の問題について、原因や対策に着目して班で話し合いながら結論をまとめることができた。ただ考えを並べるよりも、疑問とそれに対する答えを繰り返すことで、研究したいこと、調べたいことを明確にすることができると分かった。
・資料を見るだけではわからない側面がたくさんあるから、「なぜそうなっているのか」と疑問を持って課題を見つけたり、解決策を考えたりすることが大切なのではないかと思った。日本にはまだ知らないたくさんの課題があり、解決の目途が立っていないものが多くあることを知った。幅広い視野で日本の現状について情報を得るのが大切だと思った。