2024年6月の記事一覧

7月29日(月)探究サミットIN高女 開催決定! 参加者募集!

意欲のある他校の生徒と交流をして,探究活動のヒントを得たり,フィールドを広げませんか?

 

探究活動に真剣に取り組めば取り組むほど,自分の学校や地域だけでは必要な情報やデータ,ノウハウ,人脈を得ることが難しかったりするという声をよく聞きます。そこで,探究活動に意欲のある生徒同士の「人脈」を作り,現在取り組んでいる探究活動をより充実させることをねらいとして、高校生どうしが交流できる機会を設けました。生徒のみの参加も可能です。

 

次のような人におすすめです。

1 探究活動の気合いを入れたい!仲間を見つけたい!

探究活動に意欲的に取り組んでいる他校の生徒との交流から刺激を受け,探究意欲を高められます。貴重な協力者を見つけたりすることもできるでしょう。

2 探究活動のヒントを得たい!

探究活動の困りごとや悩みを共有したり,他校の実施状況を知ったり,他校の生徒からアドバイスをもらったりして,今後の探究活動のヒントを得られます。

3 探究活動のフィールドを広げたい!

他校の生徒と繋がりを作ることで,探究活動のフィールドをさらに広げられます。

※上記のような項目に少しでも該当するような生徒の皆さんのご参加をお待ちしております。

 

以下にチラシの画像を載せておきます。(PDF版⇒高校生探究サミットin高女チラシ.pdf

 

申し込みはこちら 7月17日(水)締め切り https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScmj6dQd6eH1Rnzcc6Dtn0bTauzMBC9ppB_SNp4fcxFfAQdoA/viewform

1年生発展探究始動

 6月5日(水)より,1年生の希望者向けの「発展探究」が始まりました。「発展探究」とは,水曜の6限に実施している総合的な探究の時間(思惟の時間)の続きとして7限に開講された授業です。6月中は,6限は「発展探究」の受講の有無に関わらず1年生全員が同じプログラムを行い,7限に「発展探究」独自のプログラムを行います。7月からは「発展探究」の受講者は,6限,7限と一貫して独自の発展的なプログラムを実施します。

 「発展探究」を受講していない生徒のプログラムとの大きな違いは,異学年(2年生,3年生,卒業生)の交流の機会が多いこと,探究基礎講座の発展的な内容を扱うこと,探究活動をブラッシュアップさせるための相互フィードバックの機会が多いことなどがあります。

 この日は、今後のスケジュール説明,質疑応答に続いて,心理的安全性を高める人間関係作りワークを行いました。興味関心を突き詰め,社会問題について主体的に考え,多角的に分析し,行動していく中で,豊かな社会,国家を築き上げる「本物の」リーダーになりましょう!

 

Aタイムを利用した探究活動打ち合わせ

6月5日(水)の3限は,Aタイム(生徒がそのときに必要な学びを主体的に選びとる時間)でした。今回はAタイムを使い,探究活動の打ち合わせをしていた場面を紹介します。

 

 以前の記事で,3年生の生徒の事例紹介として「高女教室」というものを取り上げましたが,本日はその運営打ち合わせを行っていました。高女教室とは,子供たちの自己肯定感(ありのままの自分を受け入れ,前向きな気持ちで物事に取り組める気持ち)を高めるために,異年齢集団による体験学習プロジェクトとして立ち上げたものです。第1回は少人数で実施し大好評でしたが(詳細は⇒こちら),第2回は規模を拡大して8月に実施予定です。しかし,3年生1人だけでの運営を続けると,規模の拡大には限界があり,また有意義なプロジェクトを立ち上げたとしても,卒業と同時に立ち消えてしまいます。そこで,後輩に運営スタッフとしての参加を呼び掛けたところ,1,2年生の有志が集まりました。

 3年生にとっては運営メンバーを集めることで,プロジェクトの規模の拡大,持続性の向上に繋がりますし,後輩にとっては先輩の理念やノウハウを引き継げるメリットがあります。また,「教育」に携わる探究活動をする生徒にとっては、自身の教育プログラムを試したりするなど,多くの可能性を秘めた「場」とも言えます。

 このように,先輩が立ち上げたプロジェクトを後輩たちが引き継ぎながら,その理念やノウハウを継承し,自分自身の探究活動をより発展させていって欲しいと思います。

1年生 丸谷元人先生 探究講演会実施

5月31日(金)の1年生の総合的な探究の時間の様子をお伝えします。
本日は1年生で実施している探究基礎講座の一環として,外部の専門家を招いての探究講演会を実施しました。
(「探究基礎講座」の概要はこちら ⇒ 探究基礎講座概要)

講師は「危機管理コンサルタント」の丸谷元人先生です。

 丸谷先生は南太平洋、中東およびアフリカの危険地帯での治安・テロ対策、誘拐事案対応、地元政府および部族との交渉、大手グローバル企業におけるセキュリティ体制構築やリスク・危機管理部門を担当した経験から、世界情勢を実体験に基づいたミクロな視点とマクロな視点を往還させながら多角的に分析されている方です。
 総合的な探究の時間とは,「興味関心を突き詰め『よい世の中』の作り方を考えて行動していく」高校教育の中核をなす科目です。(詳しくはこちら⇒探究活動とは)そんな生徒達の探究活動は「情報の収集・分析」から始まるのですが,丸谷先生は「情報の収集・分析」の失敗が「死」に繋がる現場をくぐり抜けてきた方であり,まさに「情報の収集・分析」の第一人者と言える方です。 

講演テーマは
「ウクライナ/ガザ戦争から見るプロパガンダ報道」
 - ウクライナ戦争における報道はどれだけ正しかったのか?
 - イスラエルとハマスの戦いにおける報道との差は?
 - 過去の国際報道における大手マスコミの誤情報
になります。

豊富な現場経験,数多くの専門知識に裏付けされたお話は,まさに「新聞やテレビからは100年かけても得られない」ものでした。
60分の講演の後は,20分間の質問時間がありましたが,質問が途絶えることはありませんでした。講演会終了後,放課後に実施された大会議室での追加質問会では40名程度の生徒が参加し,熱のこもったやり取りがなされました。講演会,追加質問会の熱気は,過去に見られなかったものであり,まさに「本物」に触れることで,生徒の「魂」が強く揺さぶられるものでした。

≪講演の要点≫
 私達が普段目にする情報の中には,特定の意図を持つものがあり,知らず知らずのうちに「思考を支配」されてしまうことがある。その流れは,
・恐怖を与える。
・対立させる。(分断統治)
・自由を制限する。
・自分がやっていることを正しいと信じ込ませる。
・思考を支配する。
というものである。

特に,以下の項目に該当するものは代表的なプロパガンダの手法である。
・レッテル貼り ⇒○○系の人
・断言 
・情報操作 ⇒都合のよいことを強調,反対の主張は隠蔽や捏造
・集団心理 ⇒周りはみんなやっている
・一般化
・証言の利用
・敵の創出
・ステレオタイプ
・身分や権威の利用
・美辞麗句の利用
・究極の選択

 

こういったプロパガンダに簡単に乗せられないためには,
・お金の流れを追う。
・誰が得をしているのかを考える。
・愛と憎しみ,善悪二元論を持ち込まない。
・感情に流されない。
・考えることに楽をしない。
・自分で現場にいってみる。
・出来る限りの情報を多角的に集める。
ことが大切である。

 生徒が「よい世の中」の作り方を考えて行動していく探究活動で情報収集・分析を行う際に,これらの意識がないと,プロパガンダに乗せられた「プロパガンダ探究」を進めてしまうことになるかもしれません。多くの高校生が「プロパガンダ探究」を進めてしまった先には、どんな未来があるのでしょうか。高女の皆さんには,真実を見抜き,本物の社会問題を解決し,豊かな世の中を築いていってほしいと願っています。丸谷先生,誠にありがとうございました。

 以下に生徒の振り返りを載せておきます。300名の生徒一人一人がワークシートにもの凄い書き込みをしていました。全体の記述レベルが非常に高いなと感じました。

 

≪今後の探究活動で生かせそうなこと≫
・情報を収集するときは,ネットなどで調べることよりも,自分で現地や現場に行くことの方が大切であるということ。情報を収集するときは,どの情報に対しても安易に飛びついたり,信じ込んだりしないこと,感情的にならないこと。多面的に物事を見る(与えられた視点だけでなく見るのではなく,自ら視点を変えてみる)
・何を信じていい情報かを判断することに生かせそうだと思った。この情報で誰が得をするかを考えて,この情報はフェイクかもしれないし,ほんの一部分かもしれないと色々なことを考えるのが大事だと思った。
・ネットの情報やテレビ,新聞の情報をうのみにせず,自分なりの観点から物事を判断し,データを集めること。また,様々なところからデータを集め,その中の信憑性を高めること。
・物事を一つの考えだけで終わらせようとせずに,これには何かまだあるんじゃないかと考えを膨らませてどんどん探究活動を広げられるのではないかと考えた。その中で調べ物をするときに,フェイクニュースに騙されないよう,すぐに見たものを信じるのではなく,いくつかのサイトを見て判断したいとおもった。

 

≪授業の前後での視点(ものの見方)の変化≫
・授業の前は,情報番組や新聞などに載っていることは,全て正しいものだと信じ切って毎日見ていたのですが,自分が現地に行ったことのない限り,本当のことだという確信はないため,信じ切らず,自分でも考えてみようと思いました。ただ単に考えるのではなく,「自分の思考は都合の良い方に寄っていないか」,「感情的になっていないか」,「思考において楽をしようとしていないか」などを考慮して考えていきたいと思った。
・テレビや新聞に載っていることは,全て本当のことだと信じていたので,今回の講演を聴き,本当に本当のことはごく一部しかなく,その正しいとされる情報もなかなか公になることがないということから,全てを信じず,自分なりの観点から,これは本当の情報であると判断したいと思うようになりました。
・海外のニュースの情報が100だとしたら,日本のニュースの情報が3しか無いと聞いて衝撃だった。本当に少ない一部の切り取られた情報を見て,私達は信じ込んでいて世の中を知った気になっていることにゾッとした。表面的な情報だけを見ているのだという気持ちを持ちたいと思った。
・今までは,マスメディアが本当のことを伝えていないと言うことも分かっていたが,それ以上の情報を集めようとしていなかったが,今回の授業を通して,情報を自分から入手しようと思えたことや,映像にフェイクニュースが使われていることから,映像の細部まで確認していきたい。

 

≪授業の率直な感想,講師の方へのメッセージ≫
・私は今までテレビからの情報をそのまま受け取るだけだったのですが,講演で現実の戦争を知ったとき,自分の想像と現実との大きなギャップがあることを感じ,とても驚きました。また,「思考するときに楽をしない」という言葉を聞いて,これからはより真実に近い情報を知ることができるように,正しい判断,多面的な視点,推察を心掛けていきたいと思いました。私は今回の講演を通して,まずは自分で考えること,その次に現地に行ったり,色々な視点から考えたりすることなどの大切さを学び,実際に行ってみようと思いました。自分の普段の考えかたを改めるきっかけをくださり,ありがとうございました。
・今まで受けた学校の講演会で一番興味深く面白い講演だった。特に印象に残っている言葉は,丸谷先生が,「今私が言っていることも信じちゃだめですよ」とおっしゃっておられたことだ。その後の座談会では,質問する機会があり,その中でも様々な例を入れながら説明して下さり,自分が知らなかった世界へと少し足を踏み出せた気がした。
・これからの日本や世界が心配になった。フェイクニュースばかりあふれていて,マスメディアは権力者の支配下に置かれており,本当のことを発信しようとしている人を殺したりして,私達は気付かないうちに考えを誘導されていて怖いと思った。それに,今の日本は平和だから世界の戦争も他人事で,いつか自分たちも同じようになっていくかもしれないという危機感や,世界を知らなきゃならないという気持ちが全くないと思った。命をかけて発信した人の情報さえも全く報道されて報道されていないのにとても腹が立った。丸谷さんも命の危険がありながらも日々戦っていて,本当に尊敬するし,感謝したいと思った。私はそういう人がいることを頭に置きながら,情報に踊らされずに自分で考えることのできる人になりたいです。

また,丸谷先生の「X」にも生徒のやり取り等が掲載されていますので,そちらもぜひご参照ください。
https://x.com/h_marutani/status/1797664290167771648