探究通信

1年生 探究基礎講座第4回報告

6月7日(金)の1年生の総合的な探究の時間の様子をお伝えします。

(「探究基礎講座」の概要はこちら)

 

今回の目的は「気候変動問題について定量的に考える」きっかけをつかむことです。

テーマは以下のようになります。

 

1 「実際に」どれほど温暖化しているのかを読み取る。

出典:気象庁データより作成

※「15地点平均」は都市化の影響が比較的小さいとみられる地点の平均

 

※世界の年平均気温を求める際に用いられる地点は都市化の影響や地域的な偏りは考慮していない。

出典:気象庁ホームページ

 

≪生徒の問いの展開例≫

○    図・表から読み取れること

・世界の都市の平均気温は100年で0.7℃上昇している。

・都市化率が高いところほど,平均気温が上昇している。

・冬のほうが平均気温が上昇している。

・最低気温のほうが,最高気温よりも上昇している。

冬の最低気温は大きく上昇しているが,夏の最高気温はあまり変化していない。

 → 暑い日はあまり増えていないが,めちゃめちゃ寒い日がなくなっている!

 

○    もっと詳しく調べるために

・過去1000年,1万年,1億年規模で見てみるとどうだろう?

 → たった100年レベルで見ていくのは無理がありそう? 

・二酸化炭素濃度の推移と合わせて見てみるとどうだろう?

  → 二酸化炭素濃度の上昇と気温の上昇は関連があると簡単には言い切れない?

 

2 二酸化炭素削減の名目でどんなことが行われているのか,そのコストはどれくらいなのか,身近なことから考えたり調べたりしてまとめる。

 

再エネ発電賦課金の推移 2022年度4.2兆 2023年度4.7兆(予想) 

出典:資源エネルギー庁

 

≪生徒の問いの展開例≫

○    身近なことは?

・レジ袋有料化,メガソーラー,電気自動車,水素燃料,風力発電,原子力発電…

○    メガソーラーを例にとれば…

コストは? 環境負荷は? 原料は? 生産国は? 生産者は? 出資者は? 法律は?

○    結局色々やっているが、「何兆円」かかり,どれだけの「手間」をかけているの?

 

3 1,2までの内容、日本の経済状況を総合的に踏まえて,日本の温暖化対策の是非について考えをまとめる。

出典:財務省      

出典:国土交通省資料より作成

 

出典:IEA

 

≪生徒の問いの展開例≫

○ 公共事業程度の5兆円を使用すれば、1年あたりの気温上昇を何℃抑えられるのか?

 →10万~100万分の1℃? 


○    海外は削減しようとしている?

・最大排出国の中国は? 石油メジャーは? 産油国は?

 

○    二酸化炭素が増えたり,温暖化の影響についての素朴な疑問…

・豪雨被害が増えたり,台風が強くなっている? 

 → 本当に? どの程度? 温暖化と関係があると言い切れる? 

 → そうだとしたら,日本は治水予算を増やすべきでは?

・砂漠化が進行する? 

 → 砂漠化するところもあれば緑地化するところもある?

・海水面が上昇して水没する国が出る? 

 → 実際はどうなっている? 水没どころか面積増大? →弱者を利用したプロパガンダ?

・シロクマちゃんがかわいそう? 

 → 増えてた! シロクマプロパガンダ?

 

・そもそも温暖化で滅びるほどの二酸化炭素を排出できる?そんなに石油は産出できる?

 → あと○○年で石油はなくなるとか言っていた人やテレビ局はどうしてるの?

・食料増産に繋がる? 

 → 二酸化炭素が増えて,気温が上がれば作物は育つ?

 ※植物が進化した時の4億年~1億6000万年前は CO2濃度は今の5~10倍!?

 

○    日本の経済状況は?

・GDP世界シェアは20%から5%に!

・一人当たりのGDPは,G7(主要7か国)首位から最下位に!

・手取り収入が550万⇒417万! しかも,消費税3%⇒10%! 物価・光熱費も高騰! 

・そもそも十分な道路整備や,災害対策にもお金が使えていない!

 →もし仮に二酸化炭素削減が有効だとしても、まずは、日本経済を立て直してから、 二酸化炭素削減に取り組むべきでは?

 

≪本日の振り返り≫感想,本日のテーマについてしっかりと考えていくために必要なこと

・今までメガソーラーはメリットが大きいものだと思っていたけど,自分が知らないデメリットも大きくて驚いた。丸谷さんの話でもあったように,自分が肯定したいと思ったものでも,それについてよく知り,デメリットの面も見ることが必要だと感じた。

・地球温暖化は悪影響を及ぼしていると良く聞くが,本当はあまりないかもしれないということが衝撃だった。様々な統計を見てみることが大切だと思った。問題の解決には,どうしても利権が絡んでくるから,定量的に情報を読み取ることが大切で,そのときに簡略化していくと分かりやすくなるということが分かった。自分の身の回りにも,環境対策があったので,興味関心を抱くと,もっと深く知ることができるので,これからはもっと色々なことに興味・関心を抱いていきたい。

・今日の授業を通して,自分が情報調べとグラフの分析が苦手だな,と感じました。これから自分の情報処理能力を上げられるように,日々様々なグラフに向き合ってみたいと思います。また,最初に全体の見通しを立ててから情報を探すことで,見つけるべき資料の量や質を決めてから調べたりするなど,工夫をしていきたいです。

・物事は様々なものと繋がっているため,一見関係がなさそうだとしても突き詰めていくと,案外影響し合っているということも少なくない。物事を考えるときには,広い視野を持つことが必要だ。メリット,デメリットだけでなく,そうすることで誰が得をするのか,裏で何が行われているのか,などを調べると良い。

・今日は,気候変動問題について,定量的な視点を中心に,様々な視点から考えることができました。定量的に考えるときの計算方法なども学ぶことが出来たので,これからの探究活動に活かしていきたいです。また,二酸化炭素排出を減らすために,多くのコストがかかってしまうと,経済発展にも悪影響を及ぼしてしまい,技術が衰え,逆に悪い方向にも行ってしまうのではないかと思いました。そのために,日本はどうするべきなのか,自分にできるのは何かを考えたいと思いました。

・私が今まで聞いてきた,思ってきたことは本当にあっていることなのか,不安に思った回だった。実際に自分で調べて,定量化をもとにした情報や,様々な見方から考えた情報を知らなければいけないと思った。今まで漠然と誰かに教えてもらった知識で生活してきたけれど,世の中には色々な事実?情報があって,これからは自分で情報をあさるべきだと思った。