探究通信
第2回DX 探究ツアー実施
DXハイスクール事業の一環として、3月7日(金)に発展探究受講生徒希望者向けにDX探究ツアーを実施いたしました。視察先は、私たちの生活や日本の産業を支える根幹ともいえる製鉄所と発電所です。具体的には、どちらも世界最先端の技術を誇る施設である日本製鉄東日本製鉄所鹿島地区、常陸那珂火力発電所に伺いました。これからの日本を担う若者たちにとって大変有意義な視察研修となったようです。
以下に生徒たちの振り返りを掲載させていただきます。
〇日本製鉄東日本製鉄所鹿島地区の振り返り
- 私たちの生活で必要不可欠な鉄がどのようにつくられているのか知ることが出来てとても良かった。敷地内に病院があったり、地域との繋がりがあったり、福祉にも貢献するなど活動の幅がとても広くてすごいと思った。
- 建物の5階まで階段で上がるのはゲームのダンジョン攻略のようでとてもワクワクしました。建物内に入ると、熱気と燃えたような臭いに少し驚きました。鉄の元を大きな鍋のような巨大装置に入れ、ぐつぐつと煮込んでいたが、その大きな鍋が180度回転する様子はハウルの城が動くようでとても興奮しました。階段を降りるにつれ、スラブに近づきましたが熱すぎて燃えるかとも思いました。鉄は生活に必要不可欠で、今後も作られ続けるだろうけど、採掘から薄板などの製品になるまでどのくらいの温室効果ガスが出るのか気になった。
- 工場に行く前は製鉄のことを知る機会がなくて少し古臭そうな印象だったけれど、実際に鉄が作られるまでの過程の一部を間近で見学したり説明を聞いていくうちに、福利厚生が整っていたり、コンピューターを使っていたり、環境にとても気を使っていたりという新たな発見をすることができました。もし見学に行かなければ私のなかの製鉄のイメージが変わらずに偏見を持ち続けていたと思うので、日本製鉄鹿島に行けたことはとても貴重で大切な経験になりました。鉄を作る時の熱い熱を肌で感じたり、安全に気を付けながら熱心に働いている職員の方々を見たことで今まで以上に製鉄所で働く人に対して感謝の気持ちや尊敬の気持ちをもって生活したいです。
- 夜間も預けることが可能な保育園や、ハーブ園、消防車、救急車などの工場の従業員が働きやすいような環境づくりの工夫をたくさんしていてすごいと思いました。また、従業員同士の「ご安全に!」という挨拶も深い意味があって、それぞれ役割がちがっても同じ場所で働く仲間であるという意識が大切なんだと改めて感じました。
- 鹿島地区の中はひとつの小さな町のようになっていてとても驚きました。鉄を作る手順を細かく知ったり、あんなに間近で鉄を作る場面を見たり、初めてのことでとても楽しかったです。熱々の鉄のスケールには驚かされました。何を取っても規模が大きく、鉄は日本の一大産業だと思いました。鹿島では薄板が主要な輸出品であり、ミリ単位の厚さに調整できることは世界でも貴重な技術なのだと分かりました。実際に外国の大きな輸送の船を見て世界と繋がっているのを目の当たりにして、とても印象の残りました。今回のツアーがなかったら製鉄所も火力発電所も一生見学することが無かったように思うので、自分の生活する周りでどんなことが行われているのか、視野を広げることができて、とても良い機会になりました。
- 鹿島の工場が埋め立てではなく陸地に建っていることに驚きました。スラブが目の前に流れてくると、視覚だけでなく、熱気の来る方向でスラブの位置がわかるくらい、大きな存在感を感じました。小学生のときに工業団地の工場で見た、溶けた金属とは規模も熱さも違いました。工場の外は煙突からでる水蒸気が飛んできて、本当に水なんだと感じました。高炉の中から出てくる鉄を見ることができて、うれしかったです。巻き取られた鉄を運搬する車はゆっくり走って、追い越しもできないのは厳重さがありました。工場の中に消防車が常駐しているのは初めて見ました。使った水を再利用していて、取り除いた不純物まで再利用できるのは驚きでした。とても楽しかったです。ありがとうございます。
- 私たちの身の回りにある鉄が、どのような過程を経て製品となっているのか知ることができ、とても興味深かった。鉄の熱さを肌で感じられた。
- 鉄の熱さをあそこまで感じることが出来て迫力があった。想像以上に水を使っていて製鉄の水の必要性を感じた。匂いが炎の匂い、花火の匂いに近い匂い、重い匂いがした。ミリ単位で薄くできる日本の鉄の技術は凄いしこの技術を他国に盗まれる損害はでかいと思った。11人でやっていると知って効率的にまわっていると思った。緊急時があった時は鉄を切るところの壁も薄めだったし5階にあって少し怖かった。
- 日本の鉄のほとんどを生産し、あらゆる企業に貢献しているのが凄いと思った。また、地形を活かした高い生産能力や、地域貢献、製鉄に使う材料のほとんどを再利用することで環境に配慮したりと様々な観点から物事を考えていて衝撃を受けた。
- 今回は、探求ツアーということで東日本製鉄所鹿島地区の工場見学という貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。最初に調べた時、広さが約1000万㎡で東京ドームおよそ220個分ということで、例えが途方もない数すぎて想像できなかったのですが、実際に見てみて、敷地内にも道路があり信号があり、また様々な仕様の車が走っていて、1つの街だなと思いました。効率のよい作業のための動線に無駄がなく、また水98%の再利用や、ガスも様々な種類の管にわけて再利用するなどの環境問題にも対応していて、工場の印象が大きく変わりました。とっても楽しかったです。ありがとうございました。
- 普段の生活ではなかなか行く機会のない場所で見学をさせていただきありがとうございました。鉄製品が出来上がるまで多くの方々、資源、施設が関わっていることを身を以て実感することができました。
- これまでの工場見学とは多くの点で異なっており、素直に来てよかったと思った。これは褒め言葉だが、バスから見る景色はまるでアニメ・ドラマなどのフィクション世界のように私には見えた。また、外から見るだけでも工場の複雑さが感じられ、これを人間が作ったのかと驚いた。鉄に触れることはこれまでにあまりなかったので、身近でないことも多く新しい学びが沢山あった。
- 製鉄についてはあまり詳しくなかったので、どのように鉄を加工しているのかなどとても興味深く学ぶことができました。一概に鉄を加工と言っても様々な過程があり一つ一つの重要な作業に多くの人が携わっていることを改めて痛感しました。
〇常陸那珂火力発電所の振り返り
- 火力発電は環境に悪いという認識があったが、再利用したり、クリーン化して排出するなど、出来る限りのことは全てやっていてとても感動した。火力発電所の煙突からでる排出物は目に見えないと聞いてとても驚いた。
- 発電時に出る有害物質を完全に除去し、火力発電所なのに煙突から煙が出ないのはとても驚きました。説明のなかにあった、アンモニアや水素発電に転換していくことで本当に温暖化対策になるのか知りたいと思いました。もしそれらを作ったり、輸送するときに大量のエネルギーが必要ならあまり意味がないのではないかと思ったからです。
- 最初に「最新の火力発電所で石炭を使っている」と聞いたときは、石炭と最新という言葉が結びつかず、どういうこと?と思ったり、海が近くになく火力発電所のこともよく知らなかったけれど、パンフレットやスライドでの話で図があってわかりやすかったので、その後の構内見学で設備を見たときに「ここでこんなことをやっているんだ」と考えながら見学できました。関東圏だけでイタリアよりも多くの電力を使っていると教えてもらったので、その原因は何なのか自分で考えてみたいなと思いました。最後の質疑応答の話で仕事の速さと社員の働き方のバランスが大事だと聞いて、自分が働くときにすごく大切なことだなと思いました。
- 石炭火力発電は結局火力発電であることに変わりはないのだから、環境にあまり良くないのではと思っていたけれど、アンモニアや水素を利用したCO2排出ゼロに向けた対策をしていてすごいと思いました。積み上げられたたくさんの石炭や船から陸揚げをするクレーンなど、普段見ることのできないものをたくさん見ることができて楽しかったです。
- ひたちなか火力発電所では、よりクリーンな発電をするための努力をたくさんされていて、近隣のことや未来のことに向き合っているところが感動しました。実際に煙突からは煙があまり見えなくて、抱いていた火力発電のイメージとは違い、進化に驚きました。日本には資源が無いため、輸入する限りある資源を有効に活用することが大事だと思いました。火力発電は再生可能エネルギーではないけれど、需要を満たすために火力発電は必要ということが難しいと思いました。そのような中でも、少しでも高効率で生産する工夫がたくさんされているので、そうやって考えて大切に作られた電気を無駄遣いしないようにしたいです。また、日本は電気を使いすぎているということを、もっと社会で問題にするべきだとも感じました。発電所の方々のおかげで毎日不自由なく電気が使えていることに感謝したいです。
- 石炭を細かく砕くことで、効率的に燃やすことができる。石炭は蒸気機関車で使う燃料というイメージが強かったので、最新の発電にも使われていることに驚きました。同じ蒸気でタービンを何回も回していることを初めて知りました。きれいな排気ガスを出すための、脱硝や脱硫という言葉は、最近の生物の授業で聞いたので、ちゃんと覚えてくればよかったと思いました。東日本大震災で液状化してしまった。とても楽しかったです。ありがとうございます。
- 中央制御室でたった11人で操作していることがすごいと思った。普段、私たちが電気が使えることは当たり前だと思っていたが、その裏に企業の努力と働いてくれている人たちがいるということに感謝したいと思った。
- 行く前は製鉄所と同じような物だと思っていたけれど、実際は全く違く現場に行く必要性を感じた。施設は無駄なものがなく、タービンがあるところは点検に使うため、広く場所がとられていて製鉄所よりも設備が徹底されているような感じがした。発電するだけではなく、東京にある本部では太陽光発電の量などと調節していて、私たちの生活に莫大な影響を与える会社だと思った。
- 今ではあまり聞くことのなかった石炭での火力発電だったが、その発電力はものすごく、茨城県の半分を賄っていると知りとても驚いた。また、火力発電は環境に悪いとずっと思っていたけれど、今では排気ガスが排出されない高い技術力が備わっていたことに驚いた。
- 今回は、探求ツアーということで常陸那珂火力発電所見学という貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。石炭火力発電と最先端という言葉は、私にとって矛盾のように感じていたのですが、実際に見てみて、その真実を知ることが出来ました。1番驚いたことは、全ての建物がとても綺麗で、特に見学した1号機の中は私の発電所イメージからは遠く離れていて、最先端という言葉に納得しました。石炭火力という言葉のイメージで環境破壊のような印象がどうしてもありましたが、その中で働く人達こそ日々環境問題と戦いながらよりクリーンを目指して日本のために発電していることを改めて実感することが出来ました。ありがとうございました。
- 普段何気なく使っている電力ですが、数々の働きがあってこそ供給できているものであることを改めて感じることができ、同時に大切に使っていこうという考えがより一層強まりました。
- 火力発電は今後廃止されていくのだろうと漠然と思っていたが、「これからは地球環境に負担のない火力発電を増やす」と聞いて少し驚いた。また、環境に良い火力発電のために多くの努力がなされていることを知り、逆にこれほどの努力をしないといけないのかと、「環境に良い火力発電」の実現の難しさを感じた。火力発電に関する、基礎知識から発展した内容まで分かりやすく説明していただいたため、あまり詳しくない私でも理解することができた。
- 火力発電という言葉はよく耳にしていましたが、実際に目で見てみると全く知らなかったことが多く今までの知識とリンクさせることで今まで疑問だったことがイメージしやすくなりました。
発展探究履修者向け 卒業生メンターによる探究フィードバック会
3月5日(水)は、6時間目の探究経過報告会のあとに続き、7限の発展探究の授業では卒業生メンターによる探究フィードバックが行われました。
本日と19日(水)の2回に分けて実施され、本日は4名の卒業生が参加してくれました。
1名のメンターにつき4人の生徒でグループを組み、それぞれが自身の探究を説明しながら、フィードバックをもらいます。
現在進行形で研究に向かう大学生からの具体的なアドバイスをもとに、自身の探究を深める機会となりました。
1年生探究経過報告会②
3月5日(水)6限に「1年生探究経過報告会②」が行われました。
本校では1年生から自身の興味・関心に基づいたテーマを設定し、探究活動を進めています。
そのため最終発表ではなく経過報告会として、現時点での探究活動を発表しフィードバックを受けます。
1年生は、
① 研究テーマ(問い)
② 研究テーマ設定理由
③ 現状の課題とありたい姿
④ 今後の展望・予定(FW先)
⑤ 行き詰っていること
などを2年生に向けて発表をしました。
2年生は、今後の探究活動を充実させるために
・準備しておいたほうがよいこと
・1年生の発表内容にそったFW先のアイデア
などを視点からフィードバックしてくれました。
今後は、同級生や先輩からのフィードバックを通して、2年生での探究活動の方向性や計画の妥当性を再度検討し、春休みのFWをはじめ、2年生での探究活動に向けた計画を立てていきます。
【開催予告】高高×高女 課題研究合同発表会
ぐんま探究コンソーシアム キックオフイベントを開催しました。
令和7年1月30日(木)に、新島学園短期大学フォレストホールにて「ぐんま探究コンソーシアム」キックオフイベントが開催されました。
高校・大学・企業・官公庁関係者など90名ほどの方々にお集まりいただき、「ぐんまの子どもたちをぐんまの皆で育てるための想い」について意見交換を行いました。
キックオフイベントでは、最初に、このコンソーシアムの設立経緯・趣旨説明を行った後、
1.高校関係者、2.大学関係者から一言ずつお話をいただきました。
休憩を挟んで、
3.企業・団体関係者、4.官公庁関係者からのご発言、5.グループ討議(30分)、
6.まとめとして文部科学省の石田恵実子参事官補佐様から総括をいただきました。
今後は、皆様からいただいたアンケートなどをもとに、定期的に「人材育成ビジョン協議会」を開催し、今後の方向性や具体的取組を検討し、ご提案できればと考えています。
高校・大学関係者だけでなく、中学校や短大・専門学校関係者、企業・団体、官公庁の皆さまと広く連携を図りながら、また、専門高校や特別支援学校の関係者も交えて、ぐんまの子どもたちをぐんまの皆で育てるプラットフォームができれば幸いです。
キックオフイベントでは、それぞれのお立場から想いを共有していただきました。
ご協力いただいた皆様、大変ありがとうございました。
新島学園短期大学 新木造校舎フォレストフォール にて |
司会:杉崎由里様 (株)エスティビー 群馬中小企業家同友会 |
挨拶:丸橋覚 高崎女子高校校長 |
田口哲男様 元桐生高校校長 共愛学園前橋国際大学短期大学部教授 |
飯塚秀彦様 元県立高校教諭 元文科省調査官 長野大学准教授 |
板橋英之様 群馬大学副学長・教授 |
岩田雅明様 新島学園短期大学学長 |
奥山龍一様 共愛学園前橋国際大学教授 |
中村建介様 前橋工科大学教授 |
前田拓生様 高崎商科大学教授 |
栗原幸正様 高崎健康福祉大学 |
倉林正教諭 太田市立太田高等学校 |
篠原真美子教諭 県立伊勢崎清明高等学校 |
齋藤真希教諭 県立伊勢崎清明高等学校 |
富田優希教諭 県立伊勢崎清明高等学校 |
本田博己様 群馬経済同友会 群馬ヤクルト販売(株) |
提箸康裕様 群馬中小企業家同友会 マルシン産業(株) |
髙橋徹様 上毛新聞社 |
大塚康史様 西部教育事務所 |
佐藤則行様 西部教育事務所 |
石田恵実子様 文部科学省参事官補佐 |
高女生も司会として
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上毛新聞でも、キックオフイベントの様子を記事として取り上げていただきました。(R7.1.31)
<当日の設立経緯・趣旨説明等の資料>
「ぐんま探究コンソーシアム」キックオフイベント資料.pdf |
卒業生メンター助言会実施
9月4日(水)に2年生の発展探究受講者に対して、卒業生メンターによる助言会が実施されました。
生徒は自信の探究活動の経緯を説明し、メンターからの助言を共有するすることで、今後の探究活動を進めるための多くの気づきを得ることができました。
卒業生メンターの皆様、お忙しい中お越しいただき大変ありがとうございいました。
当日参加した生徒、メンターの感想を載せておきます。
生徒の感想(抜粋)
・大学生の先輩方とお話をすることで、自分にはない意見をいただけました。また、大学生活の話を聞いて、勉強や探究活動のモチベーションが上がり、身の締まる思いでした。
・今後どんな調査をしようか困っていたが、先輩のお話を伺ってこれから何をすべきか道筋を立てられた。
・自分や自分の周りの友達からは得られない意見を立場の違う大学生から聞くことが出来てとても参考になった。
先輩へのメッセージ(抜粋)
・具体的で的確なアドバイスがとても参考になりました。大学の話も聞けてモチベーションになりました。
・今日はありがとうございました!今後の見通しを立てることができて、とてもためになる会でした。これからも探求頑張っていこうと思いました!
・今回の助言会では様々なアイデアをくださりありがとうございました。探求の目指す方向がより狭められ、向かいたい方向をわかることができたと思います。また、大学生活や探究活動を深めていく重要性を知ることができ、探究活動のモチベーションを上げることにも繋がりました。ありがとうございました
メンターの感想
・在校生同士で意見を交換したり、高女卒業生の先輩に話を聞いてもらったりする機会は、より良い探求活動をする上で有意義だと思いました。
・大学の楽しさをたくさん伝えられたと思うので勉強や探求のモチベーションになってもらえたら嬉しいです!
・皆さんの研究を聞いて、しっかり考えられてるなと思ったし自分の学んでいる内容に共通していてる研究もあってとても興味深かったです。専門的な助言はあまりできませんでしたが、みなさんのこれからの研究がより良いものになってほしいと思います。またぜひ参加したいです。
後輩へのメッセージ
・高女での総合的な学びが大学に行っても役立つ場面がたくさんあると思います。高校生活を送っていく上で様々なことに興味を持って積極的に学びを深めていってほしいと思います。高女での貴重な生活をぜひ楽しんでください!
・これからも、興味を持ったことに積極的に取り組んで欲しいです。勉強や探求活動での成功や失敗は今後の生活の糧となります。楽しく有意義な高校生活を送ってください。応援しています。
・探求活動の中での経験は大学入試だけじゃなくて、この先もずっと役に立つと思うので、頑張ってください!
DX探究ツアー実施
8月7日(水)に「第1回DX探究ツアー」を希望者向けに実施しました。
午前にサンタフェガーデンヒルズ,午後に東京広域臨海防災公園を訪れました。サンタフェガーデンヒルズは内閣総理大臣や閣僚も視察するDX技術を用いた最先端の介護福祉施設であり,施設見学,介護ロボットの実践を行いました。防災公園は,災害発生時には首都圏広域の現地対策本部として機能する場所であり,「地震発生後 72時間の生存力をつける,体験学習ツアー」に参加しました。
以下に生徒の振り返りを抜粋して掲載します。
〇サンタフェガーデンヒルズ
- 事前にネットで、善光会さんがどんなことをおこなっていらっしゃるのかを学んできたつもりでいたが、実際に見てみることで、機械の使用の様子や職員の方々の負担軽減がよりわかりやかった。実際に視察に行くことの大切さを知った。どの職員の方々も意識していらっしゃったことは、何でも自分がやってあげるのではなく、相手がやってほしいことをやる、という、相手のニーズに答えることであった。やはり介護と聞くと、生活の全てをやってあげなければいけないというイメージがあったが、介護において大事なことは、相手のニーズの満たし、生活をより良くすることだと学んだ。なにか介護関係でボランティア等があれば、ぜひやってみたいなと思った。
- 介護士とはお客さんのニーズに応えることが大事な仕事だと知った。様々なケアをやりながらコミュニケーションも大切にする、忙しいだろうけどやりがいのある仕事なんだなと思った。最先端の技術をたくさん見てとても格好いいと思ったし、憧れをもった。今回の見学を通して介護士のイメージががらっと変わり興味が湧いたので参加できて本当に良かった。
- 介護施設はただ単に介護が必要な人のお手伝いをするところだと思っていたけれど、ニーズを考えて相手に接しているというお話を聞いて、大切な本質に触れられた感じがした。仕事として人が提供する何かが、提供する相手の状態や希望を分析した結果であるべきだということが、どんな職種においても共通することなのではないかと気がつけた。
- なんでもかんでも手伝ってあげようとするのではなく、利用者の「こうしたい」という意思を尊重して「できる」ことを「できない」に変えないようにニーズに合った介護をすることが大切だということがわかった。また、介護する人が辛かったら介護される人も辛いという言葉が印象に残った。機械を効率良く使うことで介護をする人にも、介護をされる人にとってもメリットがあるということがわかった。高齢だからといってなにかが変わるわけでもないし同じ人間なのだから自分がされて嫌なことをしないように介護しているのだなと思った。高齢だから、障害者だからといって差別的な扱いをしたり何でもかんでも介護をするのは良くないことなんだなと思った。
〇防災公園
- 避難のときに大切なことについて詳しくなかったけれど、細かくこうした方が良いと説明書きがあったので、とても勉強になりました。今日学んだことを万が一の時に生かせるように、時間がある時にもう一度確認したり、簡易トイレや保存食品を使ってみたいです。実際に被災された方の話もあったので、参考になりました。
- 首都圏での緊急災害時に本部が防災公園に移ることを知れた。オペレーションルームはシン・ゴジラの撮影地と知られていると聞いた時驚いたが、広くて迫力があり、さすが緊急時に日本を担う場所だなと感じた。防災に関する知識もたくさん展示施設で学べた。防災が起きて72時間が1番重要なので怖がらず今回学んだことを活かせるようにしたい。
- 今、災害が起きてもおかしくない状況なので、直ちに災害に備えるべきだと改めて思いました。過去の大地震の学びを活かして、今後の大地震に備える体制を日本全体で整えるべきだと思いました。防災公園は年齢層関係なく、進んで学べるところでとても良い場所だと思いました。クイズをやっていくうちに、知らないことがたくさん出て来て、まだまだ知らないことばかりで未熟だと実感しました。避難してからの生活をどう生きるかも大事で、避難場所での生活も想像して備える必要があると思いました。また、大災害が怒った時にどのように避難し、どこで家族と待ち合わせるのかなど、家族で真剣に話し合う機会を設けたいと思いました。進んで防災について学べました。
- 防災公園では災害ご実際に起こったらどのようになってしまうのかを一部分ではあったけど、実感できて良かった。家具を固定した部屋と固定していない部屋の比較が印象に残った。一部分ではあったけど、実感できて良かった。さらに、自身への備えや、地震がおきたら実際にどうすべきかをパネルや展示で見ることができ、対策ができると思った。
高校生探究サミットIN高女 開催
7月29日(月)に「高校生探究サミットIN高女」を開催しました。
14校から110名が集まり,探究活動の意見交換・情報交換を行いました。
目的は,次の3点になります。
・探究活動に意欲的に取り組む生徒どうしが学校の枠を超えて、よりよい社会を形成していくための繋がりを生む機会とする。
・他校の生徒が実施している探究活動を学び、意見交換を行うことで、自身の探究活動の視野を広げる。
・他校、他地域の生徒たちと交流を図ることで、探究できるフィールドを広げる。
今後も生徒主体の運営体制のもとに継続的に実施し,回を重ねるごとに,参加者の学びの質をより一層高めて参りたいと思いますので,今後ともよろしくお願いいたします。
参加者の声抜粋
〇高校生探究サミットに参加して、どのような学びや気付きなどがありましたか。
- 質問をされたことで自分の探究の穴を発見し、改善策まで練ることが出来た。サミットで意見の交換をしていなかったら気づけなかったと思うので良かった。
- 何個か質問され、「調べたことがなかった」というものが多くあり、様々な課題に気づくことができた。また、人によって様々な探求の進め方があり、調査の方法について学ぶことができた。
- 世の中には多様な方向に視野を向ける人がいて、分野は違うけれども、だからこそ素朴な身を賭していた疑問を見つけることができるのだと分かった。故に、課題解決のためには多様な知識を研究や人から得ていく必要があるなと思った。
- 自分が気づくことのできなかったことの中にも、興味を惹かれる面白い話がたくさんあったし、意外なことから自分の興味関心に繋げることができるのだとわかった。
- 違う探求をしているからこその新しい視点を貰う機会が多く、とても刺激的でした。特に、皆が自分の意思で参加しているため意欲的に意見交換が行えたため、1時間とは思えないほどの様々な視点での学びが得られたと思います。
- 自分の探究テーマについて一切知らない相手に説明し、意見をもらうことがとても大変だとわかりました。説明の中で、必要な情報の取捨選択や相手の理解を促進する図や表があることがより良い意見の交換になると気づけました。
〇高校生探究サミットに参加しての感想や要望などを自由に記述してください。
- 私は探究活動があまり進んでいなかったけれど、いろんな先輩方に話を聞いてすごく有意義な時間を過ごすことができたのかなと思いました。学年を超えた交流の機会は全然ないのでそれもいい経験になりました。あと、探求に対して更に興味を持ったり、同じような探求のテーマをしている人を参考にしたりもできました。
- 高女生だけの意見では成り立たなかったことも今回のサミットを通じて様々な学校の人や学年の違いを超えて交流ができ、解決ができたので内容がとても濃かったです。
- 3年生になってから、他の生徒と探究活動について発表し合う機会がほぼ無かったのでとてもいい経験になりました。学校ごとに探求の内容や進め方にも特徴があり、聞いていて沢山の発見がありました。
- 様々なテーマの人がいるから、面白いテーマやユニークな探究に出会えたり、自分では気付かなかった地域の問題点や悪いところについて知ることが出来てとても良い経験になった。また、自分と似たテーマの人の発表から良いところを盗めたり出来て勉強になった。
- 1人6分だと少し少なく感じることが多かった。高校内だとやっぱりできることが限られてしまうので、繋がりを生むことが出来るのは凄くいいと思った。
- 普段の学校生活や友達との会話の中では話すことのない話題(宇宙、哲学的なもの、心理など)について楽しみながらお互いに意見を出し合うことができた。年齢の近い人たちとこういった話題で盛り上がる経験はあまりなかったのでとても楽しかった。
- 普段の探究活動では、誰かのテーマについて話し合ったり深掘りしたりはしないので、とても貴重な機会だったと思う。自分にはない考えやテーマを聞けるのは面白かったし、他の視点から自分のテーマを見れるのもよかった。今回の話し合いを通して、さらに探究活動への意欲が高まった。夏休みには、今回のサミットで得た視点を踏まえてフィールドワークを行いたい。
- 太田や前橋など住んでいる地域によって探求している内容がかなり違ったので、興味深いと思った。他の学校の人とたくさん意見交換できたので、自分の探求を深める上で収穫になった。"
1年生 探究基礎講座(発展探究編)報告
7月3日(水)の発展探究で行われた探究基礎講座の様子をお伝えします。
今回の目的は「日本の建国の理念,宗教観,自然観と私達との繋がりを探れる」きっかけをつかむことです。以下のようなワークを行いました。
1 伊勢神宮,サンピエトロ大聖堂,パルテノン神殿の写真を見て,気が付いたこと,考えたことをまとめる。
2 「いただきます」に込められている意味を知る。
3 「はし」を含む単語を探し,その単語は何を繋いでいるのかを考える。
4 11月23日は「新嘗祭」から「勤労感謝の日」に変わった理由を調べて考える。
≪本日の振り返り全般≫
・今まで全く知らなかった日本のたくさんのことについて知ることができました。探究で学んだ日本のことはとても誇るべきことだと思うので、大切にしていきたいです。今後は日本のもっとたくさんのことを知っていきたいです。
・自分たちの何気ない日常の中にも日本の原点やお国柄があることが分かり、またその意味なども調べて知ることができた。日本人が原点をあまり知らない理由は、 GHQの政策や宗教じみているものだからだと思う。現在グローバル化として多くの宗教が混在している中で、神道の話はやりにくいのだと思う。それで興味を持つ持たない以前に知る機会がなく、浸透していないのだと思う。今回の調べ学習で自分が日本について何も知らないことが分かった。日本にはどんな物語があるのかを知るため、古事記などの本を読みたいと思った。インターネットでは自分の知っていることからの派生しかわからないため、本を多く読み多くのことを知りたいと思う。
・日本は道徳的な面でとても発達していて、また天皇と国民との関係性がヨーロッパの王子と民衆の関係性とは異なるものだと知った。今後は日本以外の国の原点についても知りたい。そして、日本の自己肯定感や社会参画、意識の低さについて、その理由を考えてみたい。
・日本は外国と比べて特殊な考え方を持っていて、日本でないと成り立たないということを知れました。例えば、天皇の御所の警備が少ないことや財布を落としてもそのまま帰ってくることです。日本の原点が答えられないのは、海外との繋がりができてから情報が制限されてしまって、正確な情報がわからないからだと思いました。今後は,日本の現代で行われている行事と昔の行事のつながりを調べたい。また,日本人の言葉にはたくさんの意味が込められているからそちらも調べたい。
・日本について色々な視点から考え、調べることができた。日本の国柄も今まで以上に理解することができた。しかし、多くの人々が日本に興味がないために原点を答えられないと考えた。今後調べたいこと、日本人がどのくらい日本に興味があるのか、どうして興味があるのかないのか、その心情や背景について調べていきたい。
≪原点を答えられない理由≫
・歴史の授業で米や仏の建国理念を習うのに対し、日本の建国理念を習わない、習わないことにあまり疑問を持たない,日本の神話を詳しく学ぶ機会がないことだと思う。
・日本人が日本の原点を答えられない一番の理由は GHQ による政策で日本の良い伝統や思いが制限されてしまったからだと思いました。日本が GHQ の支配下でなくなってから70年近くなる今でもその影響が残っていることに驚きました。
・原点となっていることが生まれてきた頃からの当たり前なことだから、それを習慣としてただするものだと教えられていて、なぜそうするのかという理由まで教えてもらえない。そもそも教えている人も日本の原点を知らない可能性が高い。
・日本の原点の一つは自然への信仰や感謝だが、現在では人々の宗教観が変化し、無宗教である人も増えているため、日本の原点を知らないのだと思った。また、戦後 GHQ の改革により情報が制限されたこと、日本の原点について学校で習わないことも理由だと考える。
・大和魂など戦時中の兵士のイメージがあることは気軽に触れられないから、自ら知ろうすると右翼中。二病だと言われるかもしれない。
≪今後調べたいこと≫
・身近な神社が建てられた理由。そこの中に今の日本人に通じる精神性がある,そういったものに第一線で関わっている人に聞き、よりリアルな言葉で知りたい。また、外国とも比較し、日本人ならでを見つけていきたい。
・知らないうちに日本がどんどん外国に占領されていたり、他国を優先して日本が損していることを調べる。こんなに良い国を守っていくために、安全保障や日本の外国人の受け入れについて調べたい。
・日本の原点について知らないこと、答えられないことが想像以上に多かった。これから先社会に出ていく中で答えられた方が良いと思うし、これから知識を深めていきたい。
・なぜ,今の日本は昔の日本に親しんだり、学んだりする機会が減っているのだろうか?いつから日本の原点について語られなくなったのだろうか?そこで何があったのか?日本人の自己肯定感が低くなっているのはいつからか?
・戦前の日本が受け継いできた。たくさんの素敵な思いや伝統がきっとあると思うので、そういうことについてもっと調べたいです。
第2回、第3回 高女教室開催決定!
1年生 探究基礎講座(発展探究編)報告
6月19日(水)の発展探究で行われた探究基礎講座の様子をお伝えします。
今回の目的は「日本の建国の理念を理解し,現在の私達との繋がりを探れるようになる」きっかけをつかむことです。
高校生の皆さんは,建国の理念について考えたことがありますか。全ての物事には原点があります。つまり,建国の理念は国家の原点とも言えるでしょう。アメリカの建国の理念は,1776年の独立宣言に「すべての人間は神によって平等に造られ,生命,自由,および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」とあるように,「真に自由の国を作ること」と言えます。フランスの建国の理念は,1789年のフランス革命のスローガン「自由,平等,博愛」と言えます。では,皆さんは日本の建国の理念は何であるか。いつできたのか答えられますか。
1 日本の建国の理念を調べてみよう。
≪課題の進行例≫
→ 日本書紀にあった!
→ 約2680年前,神武天皇が橿原の地(奈良県橿原市)に日本を建国したときの「建都の詔」で「掩八紘而為宇(八紘をおおいて宇となす)」とある。
→ 「天地四方八方の果てに至るまで、この地球上に存在する民族が、あたかも一軒の家の中に住むように、皆仲良く暮らす」という意味である。
→ 確かに,人種的差別撤廃を国際会議(パリ講和会議)で初めて提案したのは日本だった!
2 インドネシア独立宣言の「05年8月17日」とはいつのことなのか。理由とともに班で協力して調べよう。
≪問いの進行例≫
→ 「皇紀2605年8月17日」のことだった!
→ 日本がインドネシアに対して,植民地「支配」をしていたら,日本の敗戦後にわざわざ「皇紀」を使う?
→ 西欧列強諸国のように,現地の方々を「支配」するものではなく,「八紘為宇」の精神で,現地の方々を家族のように扱い,その独立を心より支援していた?
→ 独立宣言以降,インドネシアにいた元日本軍の約2000人もの将兵は家族の待つ祖国,故郷へ帰らず,インドネシア人と共に,オランダに対する4 年にも及ぶ独立戦争を戦い抜き,350年ぶりの独立を成し遂げた!日本人の戦死者は,ジャカルタにある国立英雄墓地に眠っている!
→ 他に似たような事例はある?
→ たくさんあった! インド,タイ,台湾等々
→ 外交戦略を考える上で非常に大切な事実を,なぜ多くの日本人は知らない?
3 「世界に平和がおとづれて万民太平の幸をうけるまで懸命の勉強することが大切なり」
こちらは,ある日本人が幼い娘たちに書いた手紙です。どんな人がどんな場面で書いたのかを班の皆で想像してみよう。
≪課題の進行例≫
→ 特攻隊員の出撃前の手紙であった!
→ 自分が死ぬことが分かっていても,世界平和を願っていた!
→ 他の人の手紙,遺書にはどんなことが書いてある?
→ 家族、故郷への感謝,想い,日本民族の福祉,世界人類の和平など・・・
4 元特攻隊員の山崎さんのインタビュー内容から,違う立場の人の心情を理解するために大切なことを考える。
≪課題の進行例≫
→ 山崎さんが,出撃命令時に「心臓を冷たい手で握られたように感じた」と感じたのは恐怖から?
→ 実際は全然違った!「崇高な使命感からくる緊張感」であった。
→ 戦後を生きている私達は,戦時中の若者の気持ちなど理解できない!
→ 山崎さんの話を伝え聞いた新聞記者は「恐怖を感じた」と書いてしまった!
→ 実際に,現場に行き,一次情報を仕入れることが大切である!
≪本日の振り返り≫振り返り,建国の理念と現代日本人との繋がりを考えてみる。
・今回の授業で日本の建国理念である「あめのしたに一つの家のような社会を築こう」というものに従って、他の国を救っている事実があったのだなと思いました。山崎さんの「心臓を冷たい手で握られたような感覚」というものは恐怖からではなく緊張からということに驚きました。今の私は生きている時代が違うから、そのように考えることはできないだろうと思いました。彼らのおかげで今があることを心において、これからを生きていこうと思いました。
・日本の良さを新たに学ぶことができて、日本人で良かったなと思った。そして暖かい国だなとも思った。今まで特攻隊員はかわいそうで、胸が痛くなると考えていたが、少し見方が変わった。今の私たちがあるのは,昔の人のおかげでもあるんだろうなと考えた。
・日本の建国や建国の理念を全く知らなかったので、もっと知っていこうと思いました。日本人なのに日本の歴史をしっかり知らなかったりすることもあるのだと思いました。特攻隊員の人に対しても誤った認識を持っていたと分かったので良かったです。学校の登下校中に知らない人でも家族のように頑張っているね,などと話しかけてくれる時に八紘為宇の精神を感じます。
・米国の建国の理念は知っていたのに日本のは知らなかったので、もっと自分が住んでいるところについて、ちゃんと知るべきだと思った。また、紀元前はキリスト教が影響している言い方なので、それには少し違和感を感じた。また、先入観を持つことはあまり良くないことだと感じ、これからはそういったものを持つことをやめようと思った。
・他国の建国理念を知っていながら、日本の建国理念を知らないというのは自分にとって盲点だったので、この機会に知ることができてよかった。今では戦争はいけない,戦争を繰り返してはいけない,などが多く教えられているが、具体的に当時の日本人や他国の人々がどう感じていたかを知らなかったので、とても面白かった。現代の物差しで考えるのではなく、いろんなものさしで物事を考えられるようにしたいと思った。
・日本に住んでいる限り制限があって、なかなか知ることができない情報もあるので、日本だけでなく海外から見た視点なども考えることが大切だと分かりました。海外について、日本との歴史的交わりを知ることが大切だとわかったので、もっと調べてみたいと思いました。また、山崎さんの話ではその時代の人の立場になって考えることが大切だと分かりました。これからの探究では現地に行って直接見ることを大切だとわかったので、是非現地に行ってみたいと思いました。
・日本とインドネシア、台湾、インドタイの関係は全然知りませんでした。日本はアジアに対してひどいことをしたという認識でいたので、それが変化しました。日本の建国理念についても考えたことがなく、建国自体もそんなに昔だったのかと感じました。日本人として外国との歴史、日本の歴史について、より詳しく知りたいと感じました。
・日本の建国が思っていた以上に古い出来事で、それでも建国理念として言葉が今でも伝わっているというところがすごいことであると感じました。また、世界と日本の関係を見てみても、日本は建国理念のもと動いている事実もあり、今の日本の民度が高いのは建国当初からの思いが受け継がれているからであり、戦争の話を経て先人の教えを受け継ぐことも大切だと思いました。
・授業の前は日本がアメリカに戦争を仕掛けて多くの犠牲者を出した国だと思っていたが、インドネシアなどからは感謝されていることを知り、驚いた。最近、こども食堂が私の家の近所にもできたが、これも八紘為宇の精神によるものなのかなと思った。
・今の自分たちには考えられないような価値観を戦時中の人々は持っていたのだと知りびっくりした。今の日本があるのは、この人たちのお陰なのだと感謝する一方,二度とこんなことが起こらない世の中になればいいなと思った。何かを落としてもそのまま何かしらの形で帰ってくる,互いに思いやりを持って接しているところに八紘為宇の精神を感じます。
・山崎さんの言葉とインタビューを見て、ただインターネット等で見るだけでなく、現地に行く大切さを知った。ネットでは表面的なことしかわからなくても,現地に向かうことで、第一人者の方の意見を聞けたり、自分で感情を体験することができると思った。夏休みには是非フィールドワークに行ってみたいと改めて思った。
・日本の良さについて、その由来をより深く広く知ることができました。どうしても戦争についてはネガティブで可哀想に書かれてしまうことが分かりました。今日の学習を踏まえて、今現在起きている戦争について考え直してみたいです。また、戦争後に教育を受けた人はもちろんのこと,戦争前から生きていて、経験を語ってくれている人にも GHQ の影響を感じました。兵士と国民のギャップがあるとも思いますが、ほとんど負のイメージを持たせるものが多いイメージだなと感じました。戦争中の日本の考え、精神も少しずつ受け入れ、より広い視野を使えるようになりたいです。
・特攻隊の方のインタビューのように、私たちは現代の尺度でしか、過去の出来事について考えることができないと分かりました。いつか実際に戦時中に残された手紙などを読んでみたいと思いました。日本が建国された時の八紘為宇の精神は今にも生きていて、そのお陰もあって日本の平和があるのかなと思いました。
・インドネシアやタイ、台湾など日本への感謝を持っている国があったのは知らなかった。日本国民として国際的な日本の立場や歴史的な他国とのつながりなど知っておくべきことはたくさんあると感じた。神武天皇の言葉が現代の日本人のアイデンティティーとして残っているのかもしれない。
・日本を知るにつれて日本を好きになり、日本人であることを誇らしく感じた。多くの外国と様々な関わりを持っていて、それが今にもつながっている。だから視野を広げるために昔の日本を知ることは大切だ。
・私たちが日本人だからと言って、日本のことを全部知っているわけじゃなくて、外国からの情報を聞くことで、日本の戦前の話も得られることができると知りました。特攻隊の話も聞いて無駄なことだと思っていたけど、実際には大きな成果があって、その犠牲のおかげで私たちの今があると知って,とても驚きました
・特攻隊の話は小説を読んだり、自分で調べたりもしたけど、いつ考えても理解ができないです。今を生きている私には考えることすらできないことを昔の人たちは当たり前のようにしていたんだと不思議な気持ちになりました。機会があったら自分の目で実際に見て昔の人の思いをより深く感じたいと思いました。
1年生 総合的な探究の時間 情報分析会 報告
6月19日(水)の1年生の総合的な探究の時間の様子をお伝えします。
今回の目的は「社会問題を見いだす視点=情報分析力」を身につけることです。
授業は,以下の流れで進みました。
1 普段の日常生活で気になったことの写真を撮る(ニュース画像等を取得)。
2 写真を撮った理由(どこが気になったのか? 課題だと感じたのか? 面白いと思ったのか?など)を書く。
※ここまでは,授業日までの準備
3 写真に関連する内容の情報を収集して分析する。
※分析の基本的な視点
・時間軸(現在と過去を比べてみる。)
・空間軸(「他」と比べてみる。他県,他国…)
・立場軸(自分とは異なる立場で考える。賛成・反対意見を比べる。)
・客観的な事実(データ,証言,証拠を提示する。)
・定量化(解決策の判断基準としての量的関係をおさえる。)
・マクロ視点(問題全体を俯瞰する。ミクロとマクロを往還する。)
・お金の流れ(資金源は?株主は?誰が得をするのか?)
4 振り返り
・自分が事前に注目して調べたことを発表したら、周りのみんなから次から次へと新しい注目点を見つけてもらえて、さらに詳しく調べることができて楽しかったです。自分で新しいことに気づけるのは面白いと思いました。グループの人の発表の中でもお菓子の値上げは物価上昇という風になっていたけど、原料に着目したら豚熱でトウモロコシ(原料)が減ったことが原因でとてもびっくりしました。
・一つのテーマについて、色々な視点から自分で調べたことがなかったので、一つの疑問が解決すると、じゃあこれは?、と自分の中から次々に疑問が浮かんできて面白かったです。群馬と東京しか詳しいことが調べられなかったので、東北や関西など地方によって差はあるのか知りたくなりました。中学生までのデータしか出てくることがなかったので、高校の給食費はどうなっているのか気になりました。世界の給食はどうなっているのかも知りたいです。
・ただ、調べるだけではなくて、自分で一回発表して自問自答してみるのも良いなと思った。身の回りには色々な疑問や発見があるので、探究の時間以外にも自分で調べたり、FWに行ったりしたいと思った。だんだんと心理的安全性を意識して発表ができるようになってきた。
・私たちの身近なところに様々な発見があることが分かりました。普段は「気になるところ」という視点で物事を見ていないので、物事にも「なぜ」を考えていくことで、現代社会の課題などについても様々な角度から見て新しい考え方も生まれると思う。
・友達と発表しあった後に質問されて自分が見えている視点とは違うと思い、共有の大切さを感じました。その質問のことを、さらに調べてみると意外なことがわかったりして、自分の考えを深めることができました。また、友達の調べた内容にも興味が湧きました。
・私は最初に仮説を立てずに調べてしまいましたが、班の人は仮説を立ててから興味のあることについて調べていたので、自分もすぐに調べるのではなく、自分で仮説を考えてから調べて知識を身につけたり、関心を深めようと思いました。2回目の発表で外国と日本では形は違うのかという質問に答えられなかったので、外国との違いについて追加で調べたいです。
・班の人から意見をもらって、調べたら自分が調べていたことに繋がったり、新たな視点が広がったりするきっかけになったので、中学校の頃は班活動が苦手でしたが、今は楽しいと思えるようになりました。私の調べたメガソーラーについて、祖父や祖父の仕事仲間の方に話を聞いてみたいと思った。
1年生 探究基礎講座報告(発展探究編)
6月12日(水)の発展探究で行われた探究基礎講座の様子をお伝えします。
(発展探究についてはこちら、探究基礎講座についてはこちらを参照ください)
今回の目的は「日本の善いところに気が付き,その理由を考えられるようになる」きっかけをつかむことです。
以下のような課題に取り組みました。
1 日本(人)の善いところ(性質)を探して箇条書きで挙げてみよう。
≪課題の進行例≫
・治安の良さ マナーの良さ 助け合うこと 謙虚さ
きれいな水 豊かな自然 平等な社会
⇒ 無人販売所が成り立つのは日本だけ!
財布を落としても交番に届く!
大災害でも略奪や暴動が起こらない!
2 京都御所(左),ウィンザー城(中),ヴェルサイユ宮殿(右)の写真を見て,京都御所の特徴として気が付いたこと,考えたことを班でまとめよう。
≪課題の進行例≫
・質素,飾り気がない
⇒好みの問題?お金がなかった?
・和,落ち着いている,緑豊か
⇒自然観?宗教観?
・建物が低い,壁や塀も低い。
⇒防衛力が低いけど平気?外国の城は堅固な造りだけど?
3 京都御所が無防備(堀,石垣,櫓,兵の駐留所も無い)で良かった理由を考える。
≪課題の進行例≫
・天皇は神の子孫であると考えられていたから?
→ 神仏を信じない人に対しても平気?
・堀や石垣がないことで国民と隔絶されないように感じられたから?
・天皇の民を第一に想う姿に民衆が信頼を寄せていたから?
・天皇が普段から国民のことを第一に考えてくれているということが国民にも伝わっていたから,攻撃しようと思わなかった?
→ 有名な「民のかまど」に繋がる?それ以外のエピソードは?
→ 古代、中世、現代の天皇の国民に対する姿勢は「知らす」だった!
4 日本書紀・古事記に登場する,人民,百姓,庶民といった単語の読みかた,その読み方をする理由を調べ,現代との繋がりを考える。
≪課題の進行例≫
・代々の天皇は祖先である神々から最も大切な大(おお)御宝(みたから)として人民を預かっている。
→ 人民のための政治をしなければならない。
→ 日本は天皇の「知らす」国,人民・百姓・庶民は「おおみたから」である!
≪本日の振り返り≫振り返り,もっと調べたいこと,知りたいこと
・「民のかまど」の話はとても素晴らしいものだと思いました。今の政治のイメージを振り返ると,そんなはずはないとも思ってしまいましたが,昭和の時代まで続く考えならばきっと本当だろうと思い,なぜ教科書から消されてしまったのか,本当に不思議です。もし「他国に侵略しそうだから」という理由だったとしても,全世界の全ての人間を「おおみたから」と捉えられれば,むしろ世界平和が実現できそうだとも思うし,本当の理由を自分なりに考えてみようと思いました。
・日本は天皇の「知らす」国,人民・百姓・庶民は「おおみたから」である。天皇のように上に立つ人間の考えからは,その土地に住む人々全体に影響を与え,受け継がれてゆくものだなと改めて思った。同時に,天皇が他国の皇帝のような考え方だったら,今のような日本にはなっていなかっただろうなと思った。
・教科書から消された内容や,以前は教えていたのに教えなくなったことについて知り,誰に利益が生じるのかを観点にして深く考えてみたい。いつの時代も,自分のことを心配してくれる人,気にかけてくれる人は信頼されると感じた。
・「民のかまど」の話を初めて読んで,日本人の精神の根底にある大事なこと,善いところに気づきました。大昔から天皇は,日本をよく知り,国民を愛してくれていたんだと思いました。大日本帝国憲法はあまりよくないものだと思っていたけど,初めて知る事実があり,本当のことをもっと調べてみたいと思いました。
・男系天皇の跡継ぎ問題があるが、遠い昔の人民が伝えた大切なもの、日本の文化、歴史、そういったものを考えると男系天皇を次世代に繋げるべきだと考えられるなと思った。
・今までの経済や政治のデータを見ると,日本は他国より衰えているなと感じていたが,日本人にはデータでは測りきれない善い所がたくさんあると分かった。その理由は,環境や文化,歴史から読み解くことができる。昔の人の考え方が今でも語り継がれていた事実に驚いた。
・日本の国柄に触れて,改めて,日本が道徳的にすごい国だと感じました。また,代々の天皇陛下の行動に感動し,国民を想い,行動する方々であると感じました。天皇陛下の腰を低く国民を想い,国民一人一人誰も見落とさない思いからの様々な行動が国民に伝わり,そして国が一つになることが素晴らしく,維持していきたいと感じました。天皇の他のエピソードや天皇家の生活,教育法を知りたいと思いました。
・自分が住んでいる国のことをよく知らないと気付いた。戦後の教科書,教育が制限され,それが今でも続いていることは驚きだった。教科書が黒塗りにされた所はどのような内容だったのか,ウォーギルトインフォメーションプログラムの詳細を知りたいと思った。
・国民と天皇が互いに信頼し合っていたが,日本人の今まで続いている善性や御所の無防備さに繋がっていると分かった。日本には茶道や弓道など,日本古来の作法がたくさんあり,その一つ一つには意味があるので,どうしてそのような作法ができたのか,そのルーツを知りたいと思った。
・大日本帝国憲法の「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」の「統治ス」の意味は「治(しら)ス」であることに衝撃を受けた。学校では,大日本帝国憲法は天皇主権で,日本国憲法は国民主権であると習っており、ついつい天皇と国民を対立するものと考えてしまい,大日本帝国憲法に良いイメージが持てなかったが,これは戦後統治のプロパガンダによるものかもしれないと思った。日本人としての歴史や伝統をちゃんと学ばないといけないと思った。
・父が天皇についてかなり批判的で,昔から悪いところを教えてもらったり,テレビを見てきたりしたから,私も天皇に良いイメージを持っていなかったけれど,この話がたとえ嘘だとしても,価値のある大切なこととして大切にされ受け継がれてきたという事実は先生も言っていた通り変わらないということにハッとしたし,見る目がかなり変わったと思う。天皇についてもっと知っていきたいと思った。
1年生 探究基礎講座第5回報告
6月12日(水)の1年生の総合的な探究の時間の様子をお伝えします。
今回の目的は「教育の目的と問題点を把握し,その原因と対策を探る」きっかけをつかむことです。教育の目的は,「人格の完成を目指し,平和で民主的な国家及び社会の形成者たる国民を育成する」ことと言えます。そこで,日本の若者の社会参画意識,自己肯定感について取り上げて考えていきました。
図1
出典:日本財団「18歳意識調査」第46回 テーマ:「国や社会に対する意識」(6カ国調査) 2022年
1 図から読み取れることをまとめ,社会参画意識が低いとどんな問題が起きるのかを考えたり調べてみる。
≪生徒の問いの展開例≫
○ 図から読み取れること
・「自分の行動で国や社会を変えられる」,「政治や選挙,社会問題について,家族や友人と議論することがある」といった社会参画意識が極端に低い。
○ 社会参画意識が低いと…
・個人や企業が私利私欲に走ってしまう?
→ 巡り巡って国力が落ち,個人の生活水準が下がり,安全保障が脅かされる?
・政治家が私利私欲に走ってしまう?国民の方を向かなくなる?
→ 目先のお金,選挙,利権等…
→ 国民はますます政治に嫌悪感を持ち,政治から遠ざかってしまうという悪循環・・・
→ 巡り巡って国力が落ち,個人の生活水準が下がり,安全保障が脅かされる?
○ 教育の失敗?
「平和で民主的な国家及び社会(=よい世の中)の形成者」を育成できていない?
2 社会参画意識が低い原因を考えてみる。
≪生徒の問いの展開例≫
○ 過去はどうだった?(時間軸)
・投票率は? → 戦後は段々と下がっている? → 戦後に何があった?
○ 政治が腐敗しているから低い?
・他国は腐敗していない?
○ なぜ,家族や友人と政治について議論しない?
・興味が無いから?
→ なぜ興味が無い?
→ 代わりにどんな話をしている?
→ なぜその話題を選んでいる?
→ なぜその話題が流行っている?
→ いつどこで誰がどんな意図でどのように流行らせている?
→ どうすれば,家族や友人と政治についての議論ができるのか?
○ 学校で学ばないから?
・なぜ学校で社会参画意識を育てる教育が効果的に行われていない?
→ どんな教育が実施されれば,社会参画意識が育つのだろうか?
図2「自分自身に満足している」についての回答
出典:令和元年版「子ども・若者白書」調査対象:13歳~29歳の青少年
3 図から読み取れることをまとめ,自己肯定感についてもっと詳しく調べるために必要なことを考えて調べてみる。
≪生徒の問いの展開例≫
○ 過去はどうだった?(時間軸)
→ 最近のデータはあるが,一昔前のデータは無い?
→ 自己肯定感の低い国民の国が,欧米列強に対して自主独立を保てた?
○ 国民性の問題?
→ データを調べるのは難しそう?
○ 教育の問題?
→ 教育に問題があるなら,年齢(学年)が上がるほど下がる? → 下がっていた!
小学校低学年は授業中にみんな手を挙げて発言するけど,中学では挙がらなくなる?
→ 学校教育,家庭教育にはどんな問題があるのだろうか?
○ お金の問題?(マクロ経済も踏まえた視点)
→ 家庭教育にどんな影響を与える? → 子どもの貧困率はどのように推移している?
≪本日の振り返り≫感想,本日のテーマについてしっかりと考えていくために必要なこと
・日本人の社会参画意識の低さが、日本の政治や経済にどのような影響をもたらしているのかや、なぜ社会参画意識が低下したのかを、歴史的背景、国民性、生活やメディアの変化など、様々な観点から考えることが必要だと思いました。自己肯定感については、日本とヨーロッパなどの違いから、日本の特徴が見えてくるのではないかと思いました。
・自己肯定感や社会参画意識が低い日本人が、欧米列強に対して、自主独立を保てたとは思えない。戦後の占領政策でどのようなことが行われたのかを、もっと調べていきたいと思いました。
・社会参画意識の低さと自己肯定感の低さは紙一重だと思った。また、学校や家庭内での教育の質の低さも関係していると思った。家庭内での教育の質が低くなる原因は、平均収入の低下にも関係していると予想したので、日本の課題は全て繋がっていると改めて感じた。何か一つでも改善すれば、他の課題も一緒に良くなっていく気がした。
・最近の政治状況から日本人は今後社会が良くなると思う人は少ないのに、社会参画意識が低く、社会を変えようとしていないところが日本の大きな問題であると知れた。いい社会をつくるためには、日本の現状を知り、社会を変えようという意識が大事だと思いました。また、日本人の自己肯定感が低いのは、教育方法にも原因があり、今後、自己肯定感を高めるための教育を考えていく必要があるとも思いました。
・日本の社会参画意識、自己肯定感のデータから、教育について考えることができました。テーマに「教育編」と書いてあっても、教育にとらわれず、お金の面や、日本を統制する人の考えなど広く考えるべきなのだと感じました。1つのテーマに絞らず、より多方面から問題を見る力を、実際に自分の探究が始まる前につけておきたいです。
・今回のテーマが「教育」と聞いたとき、学校に関する問題が頭に浮かんだが、子供の自己肯定感や政治への興味を掘り下げていくと、様々な問題に繋がっていて、改めて世の中の問題の繋がりを考えるきっかけになりました。
・普段何気なく感じていたことを掘り返してみると、歴史的事実や政治的問題などが関わっていることがわかった。気づきで終わりにせず、それが起こった原因などその裏にあることを調べて、自分は流されていないか、本質を見抜くようにしていきたいと思った。
1年生 探究基礎講座第4回報告
6月7日(金)の1年生の総合的な探究の時間の様子をお伝えします。
(「探究基礎講座」の概要はこちら)
今回の目的は「気候変動問題について定量的に考える」きっかけをつかむことです。
テーマは以下のようになります。
1 「実際に」どれほど温暖化しているのかを読み取る。
出典:気象庁データより作成
※「15地点平均」は都市化の影響が比較的小さいとみられる地点の平均
※世界の年平均気温を求める際に用いられる地点は都市化の影響や地域的な偏りは考慮していない。
出典:気象庁ホームページ
≪生徒の問いの展開例≫
○ 図・表から読み取れること
・世界の都市の平均気温は100年で0.7℃上昇している。
・都市化率が高いところほど,平均気温が上昇している。
・冬のほうが平均気温が上昇している。
・最低気温のほうが,最高気温よりも上昇している。
・冬の最低気温は大きく上昇しているが,夏の最高気温はあまり変化していない。
→ 暑い日はあまり増えていないが,めちゃめちゃ寒い日がなくなっている!
○ もっと詳しく調べるために
・過去1000年,1万年,1億年規模で見てみるとどうだろう?
→ たった100年レベルで見ていくのは無理がありそう?
・二酸化炭素濃度の推移と合わせて見てみるとどうだろう?
→ 二酸化炭素濃度の上昇と気温の上昇は関連があると簡単には言い切れない?
2 二酸化炭素削減の名目でどんなことが行われているのか,そのコストはどれくらいなのか,身近なことから考えたり調べたりしてまとめる。
再エネ発電賦課金の推移 2022年度4.2兆 2023年度4.7兆(予想)
出典:資源エネルギー庁
≪生徒の問いの展開例≫
○ 身近なことは?
・レジ袋有料化,メガソーラー,電気自動車,水素燃料,風力発電,原子力発電…
○ メガソーラーを例にとれば…
・コストは? 環境負荷は? 原料は? 生産国は? 生産者は? 出資者は? 法律は?
○ 結局色々やっているが、「何兆円」かかり,どれだけの「手間」をかけているの?
3 1,2までの内容、日本の経済状況を総合的に踏まえて,日本の温暖化対策の是非について考えをまとめる。
出典:財務省
出典:国土交通省資料より作成
出典:IEA
≪生徒の問いの展開例≫
○ 公共事業程度の5兆円を使用すれば、1年あたりの気温上昇を何℃抑えられるのか?
→10万~100万分の1℃?
○ 海外は削減しようとしている?
・最大排出国の中国は? 石油メジャーは? 産油国は?
○ 二酸化炭素が増えたり,温暖化の影響についての素朴な疑問…
・豪雨被害が増えたり,台風が強くなっている?
→ 本当に? どの程度? 温暖化と関係があると言い切れる?
→ そうだとしたら,日本は治水予算を増やすべきでは?
・砂漠化が進行する?
→ 砂漠化するところもあれば緑地化するところもある?
・海水面が上昇して水没する国が出る?
→ 実際はどうなっている? 水没どころか面積増大? →弱者を利用したプロパガンダ?
・シロクマちゃんがかわいそう?
→ 増えてた! シロクマプロパガンダ?
・そもそも温暖化で滅びるほどの二酸化炭素を排出できる?そんなに石油は産出できる?
→ あと○○年で石油はなくなるとか言っていた人やテレビ局はどうしてるの?
・食料増産に繋がる?
→ 二酸化炭素が増えて,気温が上がれば作物は育つ?
※植物が進化した時の4億年~1億6000万年前は CO2濃度は今の5~10倍!?
○ 日本の経済状況は?
・GDP世界シェアは20%から5%に!
・一人当たりのGDPは,G7(主要7か国)首位から最下位に!
・手取り収入が550万⇒417万! しかも,消費税3%⇒10%! 物価・光熱費も高騰!
・そもそも十分な道路整備や,災害対策にもお金が使えていない!
→もし仮に二酸化炭素削減が有効だとしても、まずは、日本経済を立て直してから、 二酸化炭素削減に取り組むべきでは?
≪本日の振り返り≫感想,本日のテーマについてしっかりと考えていくために必要なこと
・今までメガソーラーはメリットが大きいものだと思っていたけど,自分が知らないデメリットも大きくて驚いた。丸谷さんの話でもあったように,自分が肯定したいと思ったものでも,それについてよく知り,デメリットの面も見ることが必要だと感じた。
・地球温暖化は悪影響を及ぼしていると良く聞くが,本当はあまりないかもしれないということが衝撃だった。様々な統計を見てみることが大切だと思った。問題の解決には,どうしても利権が絡んでくるから,定量的に情報を読み取ることが大切で,そのときに簡略化していくと分かりやすくなるということが分かった。自分の身の回りにも,環境対策があったので,興味関心を抱くと,もっと深く知ることができるので,これからはもっと色々なことに興味・関心を抱いていきたい。
・今日の授業を通して,自分が情報調べとグラフの分析が苦手だな,と感じました。これから自分の情報処理能力を上げられるように,日々様々なグラフに向き合ってみたいと思います。また,最初に全体の見通しを立ててから情報を探すことで,見つけるべき資料の量や質を決めてから調べたりするなど,工夫をしていきたいです。
・物事は様々なものと繋がっているため,一見関係がなさそうだとしても突き詰めていくと,案外影響し合っているということも少なくない。物事を考えるときには,広い視野を持つことが必要だ。メリット,デメリットだけでなく,そうすることで誰が得をするのか,裏で何が行われているのか,などを調べると良い。
・今日は,気候変動問題について,定量的な視点を中心に,様々な視点から考えることができました。定量的に考えるときの計算方法なども学ぶことが出来たので,これからの探究活動に活かしていきたいです。また,二酸化炭素排出を減らすために,多くのコストがかかってしまうと,経済発展にも悪影響を及ぼしてしまい,技術が衰え,逆に悪い方向にも行ってしまうのではないかと思いました。そのために,日本はどうするべきなのか,自分にできるのは何かを考えたいと思いました。
・私が今まで聞いてきた,思ってきたことは本当にあっていることなのか,不安に思った回だった。実際に自分で調べて,定量化をもとにした情報や,様々な見方から考えた情報を知らなければいけないと思った。今まで漠然と誰かに教えてもらった知識で生活してきたけれど,世の中には色々な事実?情報があって,これからは自分で情報をあさるべきだと思った。
7月29日(月)探究サミットIN高女 開催決定! 参加者募集!
意欲のある他校の生徒と交流をして,探究活動のヒントを得たり,フィールドを広げませんか?
探究活動に真剣に取り組めば取り組むほど,自分の学校や地域だけでは必要な情報やデータ,ノウハウ,人脈を得ることが難しかったりするという声をよく聞きます。そこで,探究活動に意欲のある生徒同士の「人脈」を作り,現在取り組んでいる探究活動をより充実させることをねらいとして、高校生どうしが交流できる機会を設けました。生徒のみの参加も可能です。
次のような人におすすめです。
1 探究活動の気合いを入れたい!仲間を見つけたい!
探究活動に意欲的に取り組んでいる他校の生徒との交流から刺激を受け,探究意欲を高められます。貴重な協力者を見つけたりすることもできるでしょう。
2 探究活動のヒントを得たい!
探究活動の困りごとや悩みを共有したり,他校の実施状況を知ったり,他校の生徒からアドバイスをもらったりして,今後の探究活動のヒントを得られます。
3 探究活動のフィールドを広げたい!
他校の生徒と繋がりを作ることで,探究活動のフィールドをさらに広げられます。
※上記のような項目に少しでも該当するような生徒の皆さんのご参加をお待ちしております。
以下にチラシの画像を載せておきます。(PDF版⇒高校生探究サミットin高女チラシ.pdf)
申し込みはこちら 7月17日(水)締め切り ⇒https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScmj6dQd6eH1Rnzcc6Dtn0bTauzMBC9ppB_SNp4fcxFfAQdoA/viewform
1年生発展探究始動
6月5日(水)より,1年生の希望者向けの「発展探究」が始まりました。「発展探究」とは,水曜の6限に実施している総合的な探究の時間(思惟の時間)の続きとして7限に開講された授業です。6月中は,6限は「発展探究」の受講の有無に関わらず1年生全員が同じプログラムを行い,7限に「発展探究」独自のプログラムを行います。7月からは「発展探究」の受講者は,6限,7限と一貫して独自の発展的なプログラムを実施します。
「発展探究」を受講していない生徒のプログラムとの大きな違いは,異学年(2年生,3年生,卒業生)の交流の機会が多いこと,探究基礎講座の発展的な内容を扱うこと,探究活動をブラッシュアップさせるための相互フィードバックの機会が多いことなどがあります。
この日は、今後のスケジュール説明,質疑応答に続いて,心理的安全性を高める人間関係作りワークを行いました。興味関心を突き詰め,社会問題について主体的に考え,多角的に分析し,行動していく中で,豊かな社会,国家を築き上げる「本物の」リーダーになりましょう!
Aタイムを利用した探究活動打ち合わせ
6月5日(水)の3限は,Aタイム(生徒がそのときに必要な学びを主体的に選びとる時間)でした。今回はAタイムを使い,探究活動の打ち合わせをしていた場面を紹介します。
以前の記事で,3年生の生徒の事例紹介として「高女教室」というものを取り上げましたが,本日はその運営打ち合わせを行っていました。高女教室とは,子供たちの自己肯定感(ありのままの自分を受け入れ,前向きな気持ちで物事に取り組める気持ち)を高めるために,異年齢集団による体験学習プロジェクトとして立ち上げたものです。第1回は少人数で実施し大好評でしたが(詳細は⇒こちら),第2回は規模を拡大して8月に実施予定です。しかし,3年生1人だけでの運営を続けると,規模の拡大には限界があり,また有意義なプロジェクトを立ち上げたとしても,卒業と同時に立ち消えてしまいます。そこで,後輩に運営スタッフとしての参加を呼び掛けたところ,1,2年生の有志が集まりました。
3年生にとっては運営メンバーを集めることで,プロジェクトの規模の拡大,持続性の向上に繋がりますし,後輩にとっては先輩の理念やノウハウを引き継げるメリットがあります。また,「教育」に携わる探究活動をする生徒にとっては、自身の教育プログラムを試したりするなど,多くの可能性を秘めた「場」とも言えます。
このように,先輩が立ち上げたプロジェクトを後輩たちが引き継ぎながら,その理念やノウハウを継承し,自分自身の探究活動をより発展させていって欲しいと思います。
1年生 丸谷元人先生 探究講演会実施
5月31日(金)の1年生の総合的な探究の時間の様子をお伝えします。
本日は1年生で実施している探究基礎講座の一環として,外部の専門家を招いての探究講演会を実施しました。
(「探究基礎講座」の概要はこちら ⇒ 探究基礎講座概要)
講師は「危機管理コンサルタント」の丸谷元人先生です。
丸谷先生は南太平洋、中東およびアフリカの危険地帯での治安・テロ対策、誘拐事案対応、地元政府および部族との交渉、大手グローバル企業におけるセキュリティ体制構築やリスク・危機管理部門を担当した経験から、世界情勢を実体験に基づいたミクロな視点とマクロな視点を往還させながら多角的に分析されている方です。
総合的な探究の時間とは,「興味関心を突き詰め『よい世の中』の作り方を考えて行動していく」高校教育の中核をなす科目です。(詳しくはこちら⇒探究活動とは)そんな生徒達の探究活動は「情報の収集・分析」から始まるのですが,丸谷先生は「情報の収集・分析」の失敗が「死」に繋がる現場をくぐり抜けてきた方であり,まさに「情報の収集・分析」の第一人者と言える方です。
講演テーマは
「ウクライナ/ガザ戦争から見るプロパガンダ報道」
- ウクライナ戦争における報道はどれだけ正しかったのか?
- イスラエルとハマスの戦いにおける報道との差は?
- 過去の国際報道における大手マスコミの誤情報
になります。
豊富な現場経験,数多くの専門知識に裏付けされたお話は,まさに「新聞やテレビからは100年かけても得られない」ものでした。
60分の講演の後は,20分間の質問時間がありましたが,質問が途絶えることはありませんでした。講演会終了後,放課後に実施された大会議室での追加質問会では40名程度の生徒が参加し,熱のこもったやり取りがなされました。講演会,追加質問会の熱気は,過去に見られなかったものであり,まさに「本物」に触れることで,生徒の「魂」が強く揺さぶられるものでした。
≪講演の要点≫
私達が普段目にする情報の中には,特定の意図を持つものがあり,知らず知らずのうちに「思考を支配」されてしまうことがある。その流れは,
・恐怖を与える。
・対立させる。(分断統治)
・自由を制限する。
・自分がやっていることを正しいと信じ込ませる。
・思考を支配する。
というものである。
特に,以下の項目に該当するものは代表的なプロパガンダの手法である。
・レッテル貼り ⇒○○系の人
・断言
・情報操作 ⇒都合のよいことを強調,反対の主張は隠蔽や捏造
・集団心理 ⇒周りはみんなやっている
・一般化
・証言の利用
・敵の創出
・ステレオタイプ
・身分や権威の利用
・美辞麗句の利用
・究極の選択
こういったプロパガンダに簡単に乗せられないためには,
・お金の流れを追う。
・誰が得をしているのかを考える。
・愛と憎しみ,善悪二元論を持ち込まない。
・感情に流されない。
・考えることに楽をしない。
・自分で現場にいってみる。
・出来る限りの情報を多角的に集める。
ことが大切である。
生徒が「よい世の中」の作り方を考えて行動していく探究活動で情報収集・分析を行う際に,これらの意識がないと,プロパガンダに乗せられた「プロパガンダ探究」を進めてしまうことになるかもしれません。多くの高校生が「プロパガンダ探究」を進めてしまった先には、どんな未来があるのでしょうか。高女の皆さんには,真実を見抜き,本物の社会問題を解決し,豊かな世の中を築いていってほしいと願っています。丸谷先生,誠にありがとうございました。
以下に生徒の振り返りを載せておきます。300名の生徒一人一人がワークシートにもの凄い書き込みをしていました。全体の記述レベルが非常に高いなと感じました。
≪今後の探究活動で生かせそうなこと≫
・情報を収集するときは,ネットなどで調べることよりも,自分で現地や現場に行くことの方が大切であるということ。情報を収集するときは,どの情報に対しても安易に飛びついたり,信じ込んだりしないこと,感情的にならないこと。多面的に物事を見る(与えられた視点だけでなく見るのではなく,自ら視点を変えてみる)
・何を信じていい情報かを判断することに生かせそうだと思った。この情報で誰が得をするかを考えて,この情報はフェイクかもしれないし,ほんの一部分かもしれないと色々なことを考えるのが大事だと思った。
・ネットの情報やテレビ,新聞の情報をうのみにせず,自分なりの観点から物事を判断し,データを集めること。また,様々なところからデータを集め,その中の信憑性を高めること。
・物事を一つの考えだけで終わらせようとせずに,これには何かまだあるんじゃないかと考えを膨らませてどんどん探究活動を広げられるのではないかと考えた。その中で調べ物をするときに,フェイクニュースに騙されないよう,すぐに見たものを信じるのではなく,いくつかのサイトを見て判断したいとおもった。
≪授業の前後での視点(ものの見方)の変化≫
・授業の前は,情報番組や新聞などに載っていることは,全て正しいものだと信じ切って毎日見ていたのですが,自分が現地に行ったことのない限り,本当のことだという確信はないため,信じ切らず,自分でも考えてみようと思いました。ただ単に考えるのではなく,「自分の思考は都合の良い方に寄っていないか」,「感情的になっていないか」,「思考において楽をしようとしていないか」などを考慮して考えていきたいと思った。
・テレビや新聞に載っていることは,全て本当のことだと信じていたので,今回の講演を聴き,本当に本当のことはごく一部しかなく,その正しいとされる情報もなかなか公になることがないということから,全てを信じず,自分なりの観点から,これは本当の情報であると判断したいと思うようになりました。
・海外のニュースの情報が100だとしたら,日本のニュースの情報が3しか無いと聞いて衝撃だった。本当に少ない一部の切り取られた情報を見て,私達は信じ込んでいて世の中を知った気になっていることにゾッとした。表面的な情報だけを見ているのだという気持ちを持ちたいと思った。
・今までは,マスメディアが本当のことを伝えていないと言うことも分かっていたが,それ以上の情報を集めようとしていなかったが,今回の授業を通して,情報を自分から入手しようと思えたことや,映像にフェイクニュースが使われていることから,映像の細部まで確認していきたい。
≪授業の率直な感想,講師の方へのメッセージ≫
・私は今までテレビからの情報をそのまま受け取るだけだったのですが,講演で現実の戦争を知ったとき,自分の想像と現実との大きなギャップがあることを感じ,とても驚きました。また,「思考するときに楽をしない」という言葉を聞いて,これからはより真実に近い情報を知ることができるように,正しい判断,多面的な視点,推察を心掛けていきたいと思いました。私は今回の講演を通して,まずは自分で考えること,その次に現地に行ったり,色々な視点から考えたりすることなどの大切さを学び,実際に行ってみようと思いました。自分の普段の考えかたを改めるきっかけをくださり,ありがとうございました。
・今まで受けた学校の講演会で一番興味深く面白い講演だった。特に印象に残っている言葉は,丸谷先生が,「今私が言っていることも信じちゃだめですよ」とおっしゃっておられたことだ。その後の座談会では,質問する機会があり,その中でも様々な例を入れながら説明して下さり,自分が知らなかった世界へと少し足を踏み出せた気がした。
・これからの日本や世界が心配になった。フェイクニュースばかりあふれていて,マスメディアは権力者の支配下に置かれており,本当のことを発信しようとしている人を殺したりして,私達は気付かないうちに考えを誘導されていて怖いと思った。それに,今の日本は平和だから世界の戦争も他人事で,いつか自分たちも同じようになっていくかもしれないという危機感や,世界を知らなきゃならないという気持ちが全くないと思った。命をかけて発信した人の情報さえも全く報道されて報道されていないのにとても腹が立った。丸谷さんも命の危険がありながらも日々戦っていて,本当に尊敬するし,感謝したいと思った。私はそういう人がいることを頭に置きながら,情報に踊らされずに自分で考えることのできる人になりたいです。
また,丸谷先生の「X」にも生徒のやり取り等が掲載されていますので,そちらもぜひご参照ください。
https://x.com/h_marutani/status/1797664290167771648
1年生 探究基礎講座第3回(総合的な探究の時間)
5月15日(水)の1年生の総合的な探究の時間の様子をお伝えします。
(「探究基礎講座」の概要はこちら ⇒ 探究基礎講座概要)
今回の目的は「日本の現状をマクロな視点で把握し、身近な生活と結び付け、成り行きの未来を予測する
」きっかけをつかむことです。
テーマは以下のようになります。
1 過去50年のGDP推移についてから読み取れることをまとめる。
出典:National Accounts - Analysis of Main Aggregates (AMA)より作成
〇日本だけ成長していない!
⇒この30年間で,内戦等が無い国では日本だけが経済成長できておらず,
GDP世界シェアは20%から5%にまで落ち込んでいる!
⇒一人当たりのGDPは,G7(主要7か国)首位から最下位になっている!
2 過去30年の世帯平均収入の推移から読み取れることまとめ,その理由を考える。
出典:令和3年国民生活基礎調査より作成
≪生徒の問いの展開例≫
〇手取り収入が550万⇒417万! しかも,消費税3%⇒10%! 物価・光熱費も高騰!
〇円換算で1997年4月を境に経済成長が止まり,庶民の収入が減っている理由はどこにある?
・工業型社会から情報化社会に変わったから?
→1997年に急に変わった?日本だけ対応できない?
・日本型経営の効率が悪いから?
→1997年まではトップだったものが,急に通用しなくなる?
・日本の教育水準が低いから?
→1997年を境に急に低くなる?現在のレベルは?
・国際金融危機があったから?
→日本以外の国はあまり影響を受けずに成長しているが?
・イノベーションリーダーがいないから?
→日本以外の世界中の国にいるわけではないが?
・他には何があった?
3 1,2から分かったことを身近な出来事や時事問題と結び付ける。
≪生徒の問いの展開例≫
〇GDPシェアが20%から5%になっているということは?
→日本と諸外国との国際関係にどんな影響を与える?
→それが国民の生活にどんな影響を与える?
〇一人当たりのGDPがG7首位から最下位になっているということは給料も安い?物価は?
〇日本のGDPはあまり変わっていないのに庶民の収入が大きく減っている?
→一部の人にお金が集中している?
→貧困率はどうなっている?
→もしそうだとしたら,どんな影響が出てくる?
〇スマホは値上がりしている?
→給料も「値上がり」していれば問題ない? 海外は?
〇海外旅行に行く人は1997年頃からは増えてはいないけど,日本に観光に来る人は増えている?
〇日本が相対的に安くなっているということは?
・企業も買われている?
→企業が買収されるとどんな影響がある?
・他には何が買われている? 土地?,人?…
4 このままでは日本はどんな国になるのかを予測する。
≪生徒の問いの展開例≫
・少子化,貧困化,資本や土地の買収が進む先に待っているものは?
・ブラック企業の増加?生活環境の悪化?いじめ・非行の増加?犯罪の増加?文化・伝統の衰退?
・「植民地」になってしまう?もうなっている?
5 より良い日本にするために,些細なことでも自分たちに何かできることはないかを考える。
≪生徒のアイデア例≫以下のような内容が多く見られた。
・たくさん本を読む。勉強を頑張る。
→技術力の向上→新製品の開発
→政治や経済についても詳しくなる。
・政治や社会問題についてしっかり調べて選挙に行く。
・国産製品の消費,需要を増やす。
・地産地消を推進する。
・税金の使い方を見直す。
・教育水準を高める。
・日本の「文化」を意識して生活する。
・政治家になる。
・広い視野で外国のことについても知る。
・自分の頭で考える。(周りに流されない)
≪本日の振り返り≫感想,本日のテーマについてしっかりと考えていくために必要なこと
・なぜ政府は外国に支配されてゆく現状を変えていくことができないのか、法律を変えられないのか、疑問に残るものが多かった。自分も知らない日本の現状を知って驚きが多かった。他の人も知らないはずだから、他の人にも知ってもらいたいと思った。
・本を読む。特に普段読まない政治や経済についての本を読んでみる。疑問に思ったことがあったら積極的にインタビューする日常生活でも意識を高く持って日本製のものを買う。外国人に買収された企業はどこか調べてみる。
・日本の未来についてあまり考えたことがなかったけど、ここまで考えられてよかった。日本の未来が明るいとは決して言えないけど、その未来を変えるために少しでも出来ることがあればやりたいと思った。日本の経済について、あまり興味を持ったことがなかったけど、外国との差を見て、もっと経済について知ろうと思った。
・マクロな視点で始まった「日本は経済成長していない」というテーマでも、ミクロな視点で考えると様々な原因があった。興味が無い人に興味を持たせる、知ってもらうことは本当に難しいが、一番必要で効果的だと思った。日本はまだ好きなので、日本を少しでも良い国にしたい。
・大きな問題は一見私達にはどうすることも出来ないように思えるが、分析してかみ砕いていくうちに、自分たちにできることを見つけられる。現状について知り、危機感を持つことが大切だと思った。
・どのような理由が絡んでいるのか遡って考えると知らなかったことを知れて納得できて面白い。調べることにもきりが無いと思った。歴史も法律も地理もいろいろやるべき!
・日本には想像以上に深刻な課題がたくさんあることが分かって、自分たちも日本の未来に向けて行動しなければならないと思った。日本の課題についてしっかり考えるためには、ニュースを見たり、きちんと勉強をしたりする(基礎的な知識をつける)ことや積極的に地域活動などに取り組んで、考え方や視野の幅を広げることが必要だと考えた。
・日本がこれからも日本であり続けるためには、私達も今できることを考えていかなければならないと感じた。もっと日本と世界の状況について知識をつけたいと思った。
・私達は日本を変えていかないといけないと思った!!今日の授業がないとそんな大変なことに気付かなかったので、もっと調べてみんなが知るべきだと思った。どうすれば日本が経済発展できるのか知りたい。
・GDPや収入などの大きな問題も自分には関係ないと思わず、どうしたらよりよい社会になるのかを1人1人が自分のことだと思って考えるのが大切だと思いました。
・このままだと、日本と外国との差が広がってしまい、日本で生きられなくなってしまうと思うので、まずは日本の現状を日本国民全員が知り、みんなで解決できるように努力する。自分から行動する。日本には伝統や文化などたくさんの魅力があるということを外国に伝えることが必要だと思う。みんながこの問題に関心を持つことが大事だと思う。