令和6年度 第77回 卒業証書授与式【式辞】

式 辞

 

冷たい風も和らぎ始め、木々のつぼみの膨らみが春の訪れを感じさせる今日の佳き日に、同窓会長 赤羽洋子 様、教育振興会長 堀口芳明 様、PTA会長 有田喜一郎 様をはじめ、保護者の皆様、同窓会の皆様のご臨席を賜り、ここに第七十七回 群馬県立高崎女子高等学校 卒業証書授与式を盛大に挙行できますことを、教職員を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

ただ今、本校の所定の課程を修了し、卒業証書を手にした二百七十二名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。また、お子様の後ろ姿を温かい眼差しで見守っておられる保護者の皆様方のお喜びと感慨はひとしおのことと拝察いたします。心からお祝い申し上げます。

3年前、皆さんは期待に胸を膨らませ、この高崎女子高校に入学しました。授業に部活動に学校行事にと充実した日々を重ね、振り返ればあっという間の3年間だったのではないでしょうか。

この間、運動部・文化部ともに素晴らしい活躍が続きました。

特に山岳部は6大会連続優勝を果たし、山岳部、陸上競技部、ソフトテニス部、水泳部、アーチェリー愛好会が北部九州インターハイに出場するとともに、放送部、語学部が全国大会に、書道部、百人一首部、文芸部、新聞部、音楽部が全国総文岐阜大会に出場するなど、全国大会や関東大会においても多くの部が輝かしい成果を残しました。

学校行事では、6月には生徒が中心となって開催した創立記念講演会や、7月には今年度から毎年開催となった椎樹祭で高女生の個性豊かな展示や発表が繰り広げられました。8月の学校説明会では、すべて生徒実行委員だけで企画・運営を手作りで作り上げ、高女生ならではの視点や発想力を発揮して、高女の魅力を中学生に伝えてくれました。10月には球技大会とスポーツの日がひとつになった新しい体育祭が高崎アリーナで初めて開催となり、一人ひとりが個性を発揮し、高女生の底力を実感することができました。卒業生の皆さんは、部活動や学校行事においても、それぞれの取組で中心的な役割を担い、我々教職員の想像をはるかに超える活躍をしてくれました。皆さんなら、高女の諸先輩方がそうであるように、皆さんが社会に出た後も、社会の様々な分野で、地域を、そして日本を、更には世界をより良く変えてくれると確信しています。

 さて、本校が推進している「高女SAH(Student Agency High School)」も2年目が終わろうとしています。群馬県教育ビジョンでも、人は、誰しも、生まれついて、自分と社会をより良くしようと願う意志や原動力を持っており、これを「エージェンシー」と呼び、一人ひとりがエージェンシーを発揮し、自ら学びをつくり、行動し続ける「自律した学習者」を育てることを最上位目標としています。

こうした取組の中で、今、目の前にいる卒業生の皆さんは、高女での生活において、様々なエージェンシーを発揮し、学校をそして社会をより良く変えようとする行動がたくさん見られたことを大変うれしく思っています。さすが高女生と何度うなずいたことか知れません。

高女SAHの取組を進めてきて、また、私自身の経験を通して、改めて大切だと感じた4つのことをお伝えします。

まず1つ目は、「目の前にいるすべての人を尊重し、リスペクトすること」です。

校長は先生方と同じ目線で、先生方は生徒と同じ目線で、目の前の相手を、自分で考えて、判断し、行動できる一人に大人として対応することが大切だと考えます。保護者の皆様も、子どもを一人の大人として尊重する姿勢を是非大切にしていただきたいと思います。そして皆さんも、大好きな人も苦手な人も、目の前に居るすべての人を尊重し、リスペクトする気持ちを忘れないでください。

2つ目は、「先入観や固定観念にとらわれず、自分を信じで、常にチャレンジすること」です。古い家を壊すのはもったいないと感じるかもしれませんが、新しい家には新しい可能性があります。自分の可能性に蓋をせず、勇気をもって新しいことに挑戦してください。

3つ目は、「自分を小さく考えるのではなく、大きく考えること」です。

自分なんて…と思うこともあるでしょう。でも皆さんは、さなぎが蝶になるように、誰もが必ず大きな可能性をもっています。あと40数年たって私のように年を重ねてから友達を見回してみてください。まわりの友達が、皆それぞれの方面で活躍されていることを知り驚くことでしょう。自分は違うなんて思わないでください。高女生なら誰もが確実に大きく成長できると確信しています。自分の心に天井をつくらず、自信をもって大きく飛躍してください。

4つ目は、「人生100年時代、やりたいことはすべてやること」です。いずれは死んでしまう命。大切に、そしてやりきることが大切です。今、選択を迫られている場面が多いかもしれません。でも、どれかを諦める必要はありません。人生100年時代。人生は長く、人生で3つ、4つやりたいことがあれば、順番は前後してもやりたいことは全部やればいいのです。皆さんは22世紀まで生きる世代です。是非、自分の可能性を信じ、ワクワクしながら歩んでください。

最後に、卒業を迎えるに当たり、これまで支えてくださったご両親やご家族、周囲の方々への感謝の気持ちを忘れず、この学び舎を後にしてください。

そして、高崎女子高校の卒業生としての誇りを胸に、力強く未来へと歩んでいってください。

私たち教職員一同、皆さん一人ひとりのこれからのご活躍を、心から応援しています。

結びに、卒業生の皆さんの前途に幸多からんことを心より祈念して式辞といたします。

 令和七年三月三日

群馬県立高崎女子高等学校長 丸橋  覚