PTA通信(令和5年10月発行)

 「高女SAH」の取組が始まります。             

校長 丸橋  覚

 高崎女子高校は、令和5年度から3年間、県の「SAH(Student Agency High School)指定校」として指定を受け、「自ら考え、判断し、行動できる生徒の育成」を目指した取組が始まりました。

 「Student Agency」とは、「生徒自らが学習のエージェント(代理人)になる」という発想から創られた言葉であり、キーワードは「学習者主体の学び」であります。

 高女SAHの具体的取組として、この4月から、まず先生方へのアンケートから取りかかりました。先生方からは、高女の強み・良さとして「素直な生徒が多い」や「勉強だけでなく、部活、学校行事にもしっかり取り組む」などが出された一方で、「生徒のパワー、自主性がもう少し欲しい」や「生徒も教員も忙しすぎる」など、高女の弱点や課題も挙げられています。

 また、5月に実施した教員研修では、「高女生に身に付けてほしい資質・能力」についてグループ討議をしてもらい、複数回答で多い順に「①人間性(謙虚さ)」(21名)、「②探究力(課題発見・解決力)」(15名)、「③粘り強さ(グリッド)」(14名)、「④起業力、挑戦力」(12名)、「⑤メタ認知力」(9名)、「⑥自立心」(7名)、「⑦グローバル力」(6名)などが出されました。

 これらをもとに、生徒の卒業後の姿を見据え、高女の3年間でどのような力を育てることを目指すのかを示した「高女グラデュエーションポリシー(案)」を、次の3つにまとめました。

1.【自立】「『教わる』から『学ぶ』へ」

  自ら学び、行動する力が身に付きます。(資質・能力⑤、⑥)

2.【創造】「高女から社会を変える!」

  誰かのためになることを創造する力が身に付きます。(資質・能力②、④)

3.【対話】「地域から世界ぜんぶが私のフィールドになる!」

  多様な人々との対話を通し、グローバルに活躍する力が身に付きます。(資質・能力①、③、⑦)

 1.【自立】においては、授業や学校行事、生徒会活動、部活動などにおいて、生徒が自ら選択し、自ら行動を起こせる環境整備を目指しています。

 2.【創造】においては、生徒自ら課題を設定し、課題解決に取り組み、高女から社会を変える提案までを目指した探究活動を充実させることで、探究力や挑戦力を育て、誰かのためになることを創造する力を育てることを目指しています。

 3.【対話】においては、クラスの仲間や先輩、後輩との対話や、社会との接点を設け、大学生や社会人、留学生等の他者と対話する機会を充実させることで、人間性や粘り強さを育て、グローバルに活躍できる人材の育成を目指しています。

 高女のSAHの取組は、始まったばかりです。具体的な取組については、生徒や保護者の皆様のご意見を伺いながら今年度中にまとめる予定です。まだ、十分に練られていないところもありますが、軌道修正をしながら進めてまいりますので、保護者の皆様からの忌憚のないご意見をいただけると幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

PTA通信(令和5年4月発行)

 高女生の主体性に期待する

校長 丸橋  覚

 新入生の保護者の皆様、ご息女のご入学、誠におめでとうございます。また、皆様の本校PTAへのご入会を心より歓迎申しあげます。

 先日、濱野前校長より、校長の引継ぎを受けました。高崎女子高校について様々な取組や方針をお聞きしました。その中で一番印象に残ったことは、昨年度の中学生向け学校説明会を、生徒にすべて任せたことでした。この企画に参加した高女生はたいへん多く、すべて生徒の手づくりで開催し、生徒は高崎女子高校の良さを、心を込めて中学生に伝えてくれたとのことでした。素晴らしい取組だと思います。

 皆様のご息女の中にも、この高女生主体の学校説明会に参加した人も多かったことと思います。これは、高女生の主体性を育てるほんの一例であると思います。我々教職員は、高女生の高い進路実現に向けて適切なサポートを続けることはもちろん重要なことでありますが、一方で、あまり過保護にならず、高女生の主体性を尊重し、生徒に任せるマインドを持ち続けることも、とても重要であると考えます。

 生徒の主体性を育成し、成長を期待する機運は、社会の要請でもあります。

 新型コロナウイルス感染症の爆発的な流行もようやく収束する状況が見えてきたところですが、この間も、AI(人工知能)や情報技術の進化、グローバル化の波や、日々刻々と変化する国際情勢など、私達を取り巻く社会は、私達の想像をはるかに超えて急速に変化しており、複雑で予測困難な時代となってきています。これからの時代は、答えのある課題を効率的に解決する力だけでなく、直面する様々な変化を柔軟に受け止め、主体的に他者と対話しながら自ら課題を設定し、解決する力の育成が、社会の要請として求められてきています。

 こうした中、昨年度(2022年度)四月から、高等学校の新しい学習指導要領が年次進行で実施されており、2030年を見据えた新しい教育が始まっています。皆様のご息女は、この新しい教育の二期生ということになります。

 具体的には、次の三つが示されています。

 一つは、「主体的・対話的で深い学び」の実現です。

 授業では、基礎的な知識・技能を身に付けるだけでなく、それらを活用して思考力・判断力・表現力等を身に付けるとともに、学びに向かう力や人間性など、主体的に学習に取り組む態度を重視しています。

 もう一つは、「社会に開かれた教育課程」の実現です。

 学校での学びを、学校内だけに閉じずに、保護者の皆様や卒業生、社会人や地域の方々など、学校外の方々との対話をしたり、積極的に学校外に出て体験したりするなど、社会との接点を持ちながら主体的に将来の在り方生き方を考える環境づくりを推進することも求められています。

 そして、最後に「カリキュラム・マネジメント」の確立です。

 学校は、歴史と伝統を継承する一方で、すべての先生方で学校の教育活動を定期的に見直し、学校のグランドデザインを作成するなどして共通理解を図りながら、生徒や保護者の皆様、地域の方々とともに新しい時代に対応した学校づくりを推進することが求められています。

 高崎女子高校においても、本校の歴史と伝統を継承するとともに、これら新しい教育の三つの柱を推進することで、高女生の主体性を積極的に育てるような新しい時代に対応した学校づくりを推進してまいりたいと考えています。保護者の皆様には、様々なご意見をお寄せいただき、保護者の皆様とともに学校づくりを進めたいと考えておりますので、ご理解・ご協力の程よろしくお願い申し上げます。