令和5年度 開校記念式典式辞

 温かい日差しが降り注ぎ、木々の青葉がいよいよ繁りゆくこの佳き日に、海老原洋子同窓会長様、井上英光PTA会長様、堀口芳明教育振興会長様をはじめ、ご来賓の皆様のご臨席を賜り、第百二十四回 群馬県立高崎女子高等学校開校記念式を執り行うことができますことを、心より感謝申しあげます。

 本校は、明治三十二年(1899年)に本県唯一の公立女学校である「群馬県高等女学校」として設立されました。翌年、明治三十三年に、現在の末広町(高崎市文化センター・文化会館の場所)に、堀と土塁をめぐらした立派な校舎ができ、県下でただ一つの高等女学校であったため、海老茶 袴 をはいた生徒が県内各地から集い、多くの生徒が校内の寄宿舎で共同生活をされていたようです。

 明治四十五年に群馬県立 高崎 高等女学校と改称され、大正五年(1916年)に校歌が制定されました。

 本校の校歌の一番は、「あしたにゆうべに徳こそつめ」と徳育について、二番は、「学びの道をば勇みこそ行け」と知育について、そして三番は、「尊き力を身にもこそもて」と体育について謳ったものであり、現在の学習指導要領で重視している、知・徳・体をバランス良く育てる「生きる力」そのものであります。

 戦後、昭和二十三年(1948年)に、群馬県立 高崎女子 高等学校と改称され、創立五十周年の記念として現在の校章が制定されました。現在の校章は、海老茶と紺の配色の中に、三層に重なった松の枝を図案化した三蓋松(さんがいまつ)と高校の「高」の文字を図案化したものです。先日の入学式においても「校章授与」のセレモニーがありましたが、この高女の校章を胸に着け、高女生としての誇りと自覚を常に感じながら、自分を磨いて欲しいと願っています。

 本校の校訓「向学叡智」「清楚品位」「明朗闊達」は、昭和五十九年(1984年)に生まれました。この校訓は、毎日利用している生徒昇降口の前に置かれている、平成六年度生が寄贈してくれた「碑」に刻まれています。

 百二十四回目の記念日に当たり、改めて本校のこの三つの校訓を心に刻み、「向学叡智」常に真摯に学びに向かい、高い知性を持ち、「清楚品位」飾り気がなく清らかで気品に溢れ、「明朗闊達」明るく前向きで広い心を持った、自立した一人の人間として大きく成長することを期待しています。

 歴史と伝統を継承する高崎女子高校でありますが、一方で、AI(人工知能)の急速な発展や新型コロナウイルス感染症パンデミックによって前例の通用しない激動の社会が到来しています。こうした激動の社会を生き抜くために必要な資質・能力を育てる、2030年を見通した新しい教育が始まっています。

 本校は、今年度、県のStudent Agency High School指定校として指定を受け、「自ら考え、判断し、行動できる自律した高女生」が育つ環境整備に取り組み始めています。Student Agencyとは、「生徒自らが学習のAgent(代理人)になる」という発想から創られた言葉であり、キーワードは「学習者主体の学び(高女生主体の学び)」であります。

 本校は、「先生が生徒を育てる学校」から「生徒が自ら育つ学校」を目指します。

 我々教職員は、「高女生を育て、導く」という視点から、「高女生の成長を支援する」という視点に立つことが重要です。

 また、生徒の皆さんは、自ら学びを選択し、自ら考え、判断し、行動できる高女生であって欲しいと願っています。

 高女生の主体性に期待します。

 結びになりましたが、同窓会長様をはじめ本校関係の皆様には、今後とも引き続きご支援・ご協力を賜りますようお願いを申し上げ、式辞といたします。

 令和五年五月一日

群馬県立高崎女子高等学校長 丸橋  覚